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「あれ…?みんな?」


偶然ってすごいね!





33 嵐の予感





買い物に出かけると、たまたま会ったツナ達。
なんだか嬉しくて駆け寄るとツナも笑顔で迎えてくれた。



「美瑠ちゃん!珍しいね、一人って」

「そうかな?」



確かに恭弥と一緒のことが多いけど、いつも一緒というわけでもない。
今日だって恭弥はご家庭の用事があって帰っているし、私は私のお買い物がしたくて外にいる。
…でも、学校での私たちはいつも一緒だから、みんなはそう思うのかも。



「ツナはどうしたの?さっきまでみんなと一緒だったよね?」

「あー…ランボがね…」



曖昧に苦笑するツナに、なんとなく察することができた。
思わず苦笑で返すとツナはあはは…と遠い目になった。



「あいつのせいで京子ちゃんどころじゃないよ…」

「人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじゃえ!だっけ?
じゃ、ランボはいつか馬に蹴られて死んじゃうのかな?」

「それは違うと思う」



あれ、違ったかな?と首を傾げると「やっぱり美瑠はイタリア育ちだよね」と笑われてしまった。
…うーん、日本のことわざはやっぱり難しい。



「あれ?美瑠ちゃん?」

「あ、京子!!」



ジュースを持った京子がびっくりしたように目を丸くしているから、嬉しくて思わず駆け寄った。
きっと、一人でいるツナを心配してきてくれたんだろう。
ツナを見ると「何で京子ちゃんがここに!?」とあわあわと慌てていた。



「ツナ君、おつかれさま。ランボ君すごく楽しそうだね」

「あ…ありがとう!」



京子にジュースをもらったツナはこれ以上なく嬉しそう。
邪魔しちゃ悪いかな、と思って傍にいたイーピンを抱え上げた。



「srgfk〜!」

「どういたしまして」



イーピンもいることにツナは今気づいたみたい。
ツナの隣に京子が座ったので、私は少しだけ離れたところに座る。

…あ、ツナ、すごく嬉しそう。なんだか私まで嬉しくなってきちゃうなぁ。



「私、ツナ君が黒曜から帰ってきた時ホッとしたんだ」

「え?」

「もっと怖い感じになっちゃうかと思ったけど。ツナ君はいつものツナ君でなんかホッとしちゃった」

「…!!」

「(よかったねツナ!)」


何かうまくいってる!
このままいい雰囲気になったら、私はイーピンと一緒に席を外そう。



「ねぇツナ君」

「えっ」




ずいっと京子がもっとツナの傍に寄る。
どきり、としているツナに、私までドキドキしてしまう。
ちょっといい雰囲気!…じゃ、ない、かも?

寄り添っている風に接近しているけど京子は不思議そうに首をかしげた。




「何の音だろ?」

「え?」

「…っ!」




遠くから爆発音や破壊音が微かに聞こえてくる。

それは、日本には不似合いな、音。
そして…イタリアでは日常的に聞いていた、音。

この音は……―――戦闘音だ!!




「ツナ!気をつけて!!」

「な…何!!?」



ドゴッ!!と大きな破壊音に私は即座に銃を取りだした。
あたりに気を配るが殺気はあまりこちらには向いていない。

ツナはまだ突然の戦闘に慣れていない。京子もいる。
ここは私がみんなを守らないと…!




「ぎゃああっ」

「ツナ!?…っ!」




煙の向こうにいた人に、思わず動きを止めてしまった。


あれは……まさか…!!

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