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「家に帰って補習の勉強しなきゃ!!ガンバロ!!」

「な…」


そ、それはすごく苦しい言い訳……
その苦しさにディーノも絶句している。
でも、焦っているツナにとって、大切なのは勢いだったようで、そのままシュバっと敬礼をする。



「じゃディーノさんまた!!リボーン先に行ってるぞ!美瑠ちゃん!また明日ね!!」

「おいツナ…!?」



ディーノが止める前にさっさと病室から出て行く。

そんなツナの後姿を見送って、ディーノは呆れたようにつぶやいた。



「あいつ、逃げられると思ってんのか?」

「…バジルは、囮だったんだな……」



リボーンの抑えたような声。
先ほど、ディーノが言っていた「偽物」という言葉。
偽物をバジルに持たせ、日本に渡らせる。…きっと、情報も流して。
だから、バジルはスクアーロと戦うことになり、結果的に―――本物のハーフボンゴレリングは守られた。
そのやり方は、決して正当なものじゃない。…囮、なのだから。
囮という役をバジルにさせてしまったことに、罪悪感があるのだろう。ディーノは真剣な顔になる。



「ああ…恐らくバジル本人も知らされてねぇ。
あの人のことだ。こうなることは読んでただろーが、相当キツイ決断だったと思うぜ」

「あの人は…優しいからね」

「つーかこれ、直接ツナに渡せばいいのにな。あの人オレと一緒に日本に来たんだぜ?」

「そーか…あいつ来たのか…」

「…そーだ、美瑠。――お前、まだあのリング持ってるか?」

「…もってるよ。もちろん」




首にかけていたネックレスを外す。
先ほど見たハーフボンゴレリングとは違う。半分ではなく、完全な形。

この指輪は…昔お祖父様にもらったもの。

もちろん、このリング保持者として……



「月のリングか。本当にあったんだな」

「うん…昔、お祖父様…九代目にもらったの。あれからずっと、身に離さずに持ってたよ」

「オレは、捨てられたかと思ってた。だってそれは…」

「私が天秤だという証…だもんね」



月は、太陽に寄り添うもの。

常に太陽の側にいて、太陽の光を反射し、すべてのものを包み込む者。


それが月のリングの使命。

そして…天秤の使命。




「まさか…こんなにも早くこの指輪をはめる日がくるとは思わなかったよ」




そっとチェーンから外して右の薬指にはめる。
一般的にここは、婚約指輪を入れる場所。…私にとってこれは婚約指輪同然だから……

はめた指の位置を見て、ディーノは慌てる。



「…!お前、そこにはめて」

「いいんだよ。これが、本当の定位置だから」




月をかたどった指輪がきらりと光った。

そしてチェーンには恭弥からもらったリングが残った……

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