「入りたくない?」




もう一押し必要かな、と思いわざと眉をハの字に曲げて哀しそうな表情を作る。
こうすればきっと美瑠は困りながらもいいと言ってくれるはず。

ん?卑怯だって?
僕には聞こえないね。
……しょうがないでしょ?美瑠を入れるためなんだから。

ちらり、と美瑠を見ると…うん、僕の計算通り、美瑠は少し困ったような顔をしてる。




「……入る、よ?」

「よかった」




ふふ、僕の作戦通りでしょ?

すぐに哀しげな表情をやめて満面の笑みを浮かべると美瑠があっけにとられていた。
そしてどんどん確信犯だ、って言いたげな顔をしていく。

気付いたときは時すでに遅し、だよ。

むむ、といったように僕を見つめたけど美瑠は何も言わず。
そのことを認めて僕はどうしようか、と少しだけ思案する。




「さすがに学ランは嫌だよね」




男子用だし、美瑠には似合わなさそうだし。
何より僕が着てほしくない。
着るならやっぱり旧女子制服であるセーラー服かな…?
でも今セーラー服って作ってたっけ……まぁ作ってなかったら作らせるだけなんだけど。

…それにしても、美瑠のセーラー姿、なんて……
変態じゃないけど、かなり際どいんじゃない…?

僕の頭の中にセーラー服姿の美瑠が思い浮かぶ。
紺色のプリーツスカート、赤いスカーフ、美瑠の綺麗な髪が白いシャツに映えて……


…ダメ。絶対ダメ。不許可。論外。風紀が乱れるし何より悪い虫がつく。

(僕の頭に浮かんだ姿なんて絶対見せれないよ)




「じゃ、特別にブレザーにこれつけるだけでいいよ」




本当は僕の都合上だけど。

それは心の中にとめておいて、引き出しの中に常備している風紀の腕章を取り出す。
大体入ってくるやつらは下っ端だから草壁が面倒見ることになってて、僕と話すことは滅多にない。
つまり僕直々に渡す、なんて美瑠が初めてなんだよね。

はい、と手渡すと美瑠は感心したように腕章を目を輝かせて見つめる。
可愛い…和む、っていうか、うん、その辺は察してよ。

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