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『あ…ディーノに少し、変わってくれる?』
「……」
無言でプチッと電話を切る。
…?どうしたんだ?もう電話は終わったのか?
普通、最後は「じゃあね」とか言って切るもんじゃねぇか?
…って、恭弥にふつうを当てはめるのが間違いか。
恭弥がポケットに携帯を仕舞うのと同時に、オレの携帯が鳴る。
画面を見れば『美瑠』の文字。…え?俺に?
「もしもし?」
『ディーノ…恭弥が切っちゃったから、こっちからかけちゃった』
「(やっぱり…この人の番号も知ってるんだ…。
この人と話してるとこなんか見たくなかったから切ったのに)」
目の前の恭弥はムスッとしていて、どんどん不機嫌になっていく。
腕を組み、仁王立ちして般若のようにオレを睨みつけた。
そんな殺気を感じ、冷や汗をかきながらも電話に応じる。
「そっか…、…で?どうしたんだ?」
『恭弥に、無理させないでね。いつも、恭弥は限界を知らないから』
骸の時も…毎日の、喧嘩の時も…自分の体のことは顧みずに戦うから。
心配そうに言う美瑠に、オレは少しだけ笑った。
短い時間しか戦ってないが、その短い間だけで十分だった。…こいつの性格を把握するのは。
その心配は十分理解できる。なんたって、恭弥は生粋の戦闘マニアだからな。
そして、そんな恭弥は心から心配する美瑠の優しさと思いやりに、少しだけ心が温まった。
「ん…わかってる」
心配性、だよな。美瑠も。
美瑠はいつも俺のことを心配性だって言うけど、お前もお前だ。…誰に似たんだろうな。
そう言うと美瑠がクスリと笑った。
『きっと、お兄ちゃんに似たんだよ。あ…恭弥に、かわってくれる?』
「おう。…ほら、美瑠から」
ぽいっと恭弥に携帯を放ると、不機嫌そうに眉をひそめたまま電話に出る。
…美瑠がその不機嫌さに怯えなきゃいいけどな。
「何」
『…怒ってる?』
「うん」
はっきりと言い切った雲雀に美瑠は苦笑。
でも、それが彼の愛情表現の一つだとわかっているから何も言わない。
『恭弥…』
「だから、何」
『怪我、しないでね。…それと…っ、大好きだよっ恭弥!じゃあね!!』
最後の方は早口で言って電話を一方的に切った。
もちろん…電話の向こうでは、真っ赤になって。
恭弥は突然のことで呆然としていたが、クスリと笑みをこぼす。
そして思いっきり携帯を壊した。
「オレの携帯ぃぃぃ!!」
「クスクス……」
なんて可愛いんだろう……
愛しすぎる……
きっと、美瑠は今頃真っ赤になってるだろう。
安易に想像できる顔に、またクスリと笑う。
僕には言わせてくれないんだね、美瑠。
なら……帰ってきたときに、言ってあげようか。
大好き、じゃなくて。
愛してるって。
いっぱい抱き締めて、いっぱいキスしてあげる。
だから……早く帰っておいでよ?美瑠……
「クスッ…さぁ、始めよう」
「(オレ、恭弥の家庭教師やめたくなってきた…)」
トンファーを構えた恭弥の顔は、すごく楽しそうな笑みを浮かべていた。
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