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「オレは、あの日、美瑠と初めてあった日は一生忘れねぇ」

「私も忘れないよ」



あの時のザンザスはこんなに負の感情の強い人じゃなかった……
心の奥に、幼いながら温かいものを感じてたから。

きっと、優しかったんだ…本質的に、ザンザスはきっと優しい人。

でも今のザンザスは怒りや憎しみでいっぱいだよ……



「なぁ、この席、誰の席か知ってるか?」


指さす場所はザンザスの椅子の隣。

そういえば…席が8つある……一つ、あまる…?



「この席は、お前の席だ」

「…!!」

「ずっと…お前に会ったときからこの隣の席だけ空けてきた。
ここはお前に、美瑠に座ってほしかったからだ」



私に…?…どうしたんだろう……

ザンザスの心に、温かいものを感じる……
この感情は…恭弥が教えてくれたものに、似てる……

(恭弥とはまったく違うのに)



「美瑠…オレは、お前のことが…――好きだ」

「っ!」



驚きからザンザスを見つめて、本当かどうかを見極める。

ザンザスが…?私のことのことを…好き?
嘘……、…でも、この気持ちが何なのか、私は痛いほど知ってる。

(だって恭弥が私に一番くれたものだから…)

ザンザスは、本気、だ。



「初めてあった時から、オレは美瑠のことが好きだった。
だからオレは初代ボスの遺言通り、美瑠と結婚したい」

「…っ!!」



胸に突き刺さる言葉。

『結婚したい』


これが…私の運命……


天秤―――『月の守護者』―――は、初代ボスの時もいた。

初代ボスは前天秤を、愛していた。
二人は愛し合って…日本で結婚した。
太陽と月のように二人は離れることがなかったので、そう名付けられたのだ。

そして初代ボスは遺言…ううん、掟として言い残した。



『後世に再び天秤が生まれたとき……
私達は運命共同体…故に天秤に相応しいのはボスの妻だ。

天秤はボスの妻となり…支えて欲しい。

私達のように……』



だから私はザンザスがボスになれば…私はザンザスと結婚しなければならない。
それはもちろんザンザスが私のことを嫌いだったらしなくてもよかった。

でも…私のことを好きだって言ってくれている……
なら私は、ボスがザンザスになれば、ザンザスと結婚しなきゃいけない。

恭弥とは…一生会えない…っ

(この指輪も、捨てなきゃいけなくなっちゃう…)



「XANXUS…」

「お前は、オレのことをどう思っているかは知ってる。
ただ、オレは本気で好きだ。それだけは覚えていてほしい」

「(恭弥…)」


目をつぶれば恭弥の笑った顔が浮かぶ。

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