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「足、怪我してるね」

「…大丈夫」

「そうじゃないと思うけど。ホラ」



ハンカチを取り出して、私の足に巻き付ける。
私はそんなことしてもらえるのは、初めてで…とまどいで、何も言うことができない。



「…はい。本部に帰ったらちゃんとした治療受けようね」

「……うん」


こんなとき、何て言えばいいんだろう。
わからなくて…うん、しか言えなかった。

ちゃんと、感謝したいのに。それを言葉でうまく表せない……

そんな彼女の心が読めたのか、目線をあわせて彼は笑った。



「ありがとう、って言ってくれればいいから」

「…ありが、とう…?」

「そう。感謝したいとき、ありがとうって言えばいい。それだけで相手は嬉しいから」

「嬉しい…貴方も、言われて嬉しい?」



少し首を傾げると、彼はまた笑った。



「うん。嬉しいよ」

「…ありがとう」



初めて、笑った。

微かだけど…ニコリと、微笑んだのだ。今まで…笑うことを知らなかった私。
でも、彼に喜んでほしいという純粋な心からくる笑顔だった。

彼は私の初めての笑顔に少し驚いたが、少しずつ、目元と口元が緩んでいく。



「どういたしまして」

「…うん」



私はまたうん、しか返せなかったけど。

雰囲気は初めて会ったときと全く違って、すごく穏やかだった……

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