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「不満、かな…雲」
「…別に。どうせ、僕が反対したって君は行くんだろう?」
「もちろん」
「…なら、止めない」
我関せず、というようにアラウディは目をつぶった。
相変わらず…とジョットは苦笑したが、わかっているのだ。
アラウディは、私に行ってほしくないんじゃない。
月に、日本に行ってほしくないのだ、と。
アラウディが月に抱いている気持ちが…恋、なのかは定かではない。
それはアラウディのみしることだろう。
でも確かなのは…私と同じくらい、月を大切に思っていることだ。
この屋敷に初めて月がきたときは、あんなに毛嫌いしていたというのに……
いつからか、アラウディと月は仲良くなっていた。
あの群れることが嫌いなアラウディが…一緒にいて、笑っていたほどだ。
私が、思わず嫉妬しそうになるくらい…な。
「…言い残したい事がある」
「はい」
「『後世に再び天秤が生まれたとき…私達は運命共同体……
故に天秤に相応しいのはボスの妻だ。
天秤はボスの妻となり…支えて欲しい。私達のように……』」
そっと、視線が彼女に向かう。
彼女は…微笑んでいた。…誰よりも、幸せそうに……
「貴方は、私の太陽」
「君は、私の月」
彼女は嬉しそうに笑って、照れたように俯く。
ジョットは愛しそうに彼女の頭を撫でた。
「Ti amo―――美瑠」
守護者の目の前で、約束の口づけを交わした……
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