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知られたくなかった…

それに、そんな顔、させたくなかったよ……




42 嵐の守護者




「ベル…」


並中の校舎内。

(あ…ここは応接室の近く…)
(恭弥が、好きな場所…)

今日は、ここがベルの戦う場所。

ベルのことが心配で、顔を曇らせているとベルはうしし、と笑みを浮かべる。



「何でそんな顔してんの?」

「だって、ベルはいつも無茶ばっかりするから…」

「うっわーオレって信用ねー」

「当たり前だぁ!!」

「スクアーロ、黙っててくれる?」

「黙らねぇぞぉ!!美瑠を心配させる奴はかっさばく!」

「それ、よけー美瑠が心配するから」


ベルが掻っ捌かれてしまったらすごく心配する。
なのに、スクアーロは掻っ捌くという。矛盾したスクアーロの発言にクスリ、と笑う。

ホント天然なんだから…でもそこがスクアーロのいいところなんだよね。



「でも来ないね。相手の嵐の守護者は」

「…そうだね」

「逃げてどーすんだか。どうせ殺されんのに」

「…ベル、殺すのは…」

「えーやだよ。だってオレ王子だもん」



うしし、と再び笑うベルに関係ない、とつっこみたかったが、苦笑のみで返す。
いつも「王子」って言葉で誤魔化すんだから。

それがベルらしいと言ったらそれまでなんだけど。



「あの時計の針が11時をさした時点で獄寺隼人を失格とし、ベルフェゴーレの不戦勝とします」



待っても待っても隼人はやってこない。

隼人……来ないの…?

刻々と時間を刻んでいく時計。
後少しで12を指すところで…時計に爆弾が当たった。



「お待たせしました10代目!!獄寺隼人、いけます」

「獄寺君!!」

「約束の時間に間に合いましたので勝負への参加を認めます」




頼もしいほど堂々とした登場の仕方にほっと安心する。

よかった…来てくれて。でも相手はヴァリアー一の天才、ベル。
大丈夫なの…?隼人……

そう心配しているとチェルベッロの説明が始まる。

今夜のフィールドは校舎の三階全て。
もちろんこの棟とつながる東棟も含まれ、廊下だけでなくこの階にある全ての教室を含む。

ただし。

大きな音を立てて、ガラスが割れて風が吹き抜ける。
いや、風どころではない。人工的に作られた嵐のような……

その正体はフィールド内にある、ハリケーンタービン。
吹き出し口が四つあり、四方向にランダムに超強力な突風を発生させる嵐の装置。



「あの風をまともにくらったら外へふっとばされるぞ…!!」

「そして今回は勝負に時間制限をもうけます。
試合開始から15分後にどちらかが嵐のリングを完成し、所持しなければ、ハリケーンタービンに仕掛けられた時間爆弾が順次爆発しこの階を全壊にします」

「そ…そんなっ…!?じゃあ勝負がつかなければ二人とも…」

「死ぬでしょう」

「二人とも、守護者にはふさわしくないということです」

「聞いてないよ!そんなの」



聞いて、ない。
そんな危険なこと、ベルにも隼人にもさせたくない…!

そう思ってチェルベッロに抗議の声をあげる。

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