3
勝負は圧倒的にベルが優勢だった。
天才故にわかること。隼人より踏んだ場数が違いすぎるよ…!
気流を読んで、ナイフをそっと添える。
それは天才のベルだからできることなの?
「スキのない、流れるようなナイフさばきで相手の一切の攻撃を封じる」
「この風の中でこんなことができるのはベルぐらいだよ」
ベルしかできないことなの?私は、そうは思えない。
(心のどこかで、隼人でもできるような気がするから)
「怒濤の攻めのシメは針千本のサボテンにしてやるよ」
ベルの鋭利なナイフが大量に出てくる。
どうしよう…!
あれがまともに刺さったら、隼人が死んじゃう…!!
「バイバイ」
「隼人!!」
すべてのナイフが何かに突き刺さる。
最初は隼人に当たったと思ったけど、ふと、違和感を感じてもう一度よく考える。
刺さった時のあの音…人間に突き刺さるような音じゃ……
「うししし、サボテン一丁あがり」
バリンとガラスを割って隼人の体が廊下にでる。
いや、隼人の体じゃない。
あれは…――学校なら必ずある、人体模型。
よかった…やっぱり、あの音は人形に当たる音だったんだ。
そう安心していると、何故かずるっと人体模型が動く。
「よく見てみろ。首に何かからまってるぞ」
「これがてめーの技の正体だ」
もちあげたのは、細くて鋭利なワイヤー。
隼人の説明によると勝負の前の肩をたたいた時に、重量を感じないよう局部麻酔まで打って、視認しにくいワイヤーを肩にとりつけたんだって。
そしてワイヤーをたぐりよせそこにナイフの突起をひっかけて投げる。
レールの上を滑るようにワイヤーにそって飛んでくるって仕掛けだったらしい。
そっか…だからナイフが隼人に吸い込まれるように飛んだんだ。
さすが、頭のいい隼人。すぐに見破ることができた。
「がんばってるけど50点ってとこかな。
つか、お前こんなもんで得意になるのもいいけどさ。
この風じゃなんもできないじゃん。なぁどーする?」
もっと、オレを楽しませてよ。
そうベルが口の端をあげると隼人がボムを構えた。
「当たんないから」
「果てろ!!!」
ボムがベルに向かって投げられる。
でも風が吹きあれて、このままだとベルには当たらない!
「頭悪くて口あんぐり」
ホント、期待はずれ。
「(行け!!!!)」
そのままのボムかと思っていれば、ボムから噴射し、風関係なくベルに向かって飛んでいく。
すごい、ボムを直線型に飛ぶようにしたの!?
「オレが下手うって10代目に恥じかかすわけにはかねーんだよ」
「ベル!!」
避けて、という気持ちを込めて彼の名前を呼んだが、その思いもむなしく、ボムはすべてベルに命中する。
ベルに隼人のボムが直撃しちゃった…!!
何でよけなかったのよ…っ無理しないでって言ったのに…!
「まさかこれも…新技…!?」
- 258 -
*前次#
ページ:
back
ALICE+