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「ロケットボム…こいつこそが6日間で奴がつかんだ技だ」



隼人が身につけたのは、方向転換するボム。

仕込んだ推進用火薬の噴射であらかじめ決めた方向に2度変化するように仕組まれている。
隼人に最も足りないものはスピードだった。
ボムという武器の特性上、着火時間と山なりの軌道でどうしあって敵をつかまえきれない。

そこで武器そのものの機動力をあげたということだった。
隼人はシャマルのトライデント・モスキートを見て気がついたらしい。



「狙いが手動(マニュアル)なだけにテクニックを要するが、2度曲がれば戦略は一気に広がる。
何よりあいつが生き残るために習得したんだ。そういう技はしぶとく決まる」



煙が立ちこめる中、ヴァリアーのみんなは冷静だった。
たぶん、ベルがこれで終わらないことをわかってるんだろう。



「ベルの奴、無傷ではあるまい」

「そのとおり…あれが始まるね」

「おぞましーぜぇ」

「あれ?」



あれって…何?ベルにはまだ秘密があるの?

少し首を傾げるとマーモンも同じように傾げた。



「ん?美瑠は知らないんだっけ?」

「見てりゃわかるぞぉ!」


「うししし!!あぁあ゛〜っ流しちゃったよ。王族の血を〜〜!!」


「自分の血を見てから始まるのさ。プリンス・ザ・リッパーの本領は」



プリンス・ザ・リッパー。確かベルの通称……

ベルは自分の血が流れているにも関わらず、嬉しそうに笑っている。
普通なら痛がるはずなのに…喜んでいるベルにスクアーロが眉を顰める。


「あいつの奇行、相変わらず理解できねーぜ」

「知らないのかい?
ベルが自分の血を見て興奮するのはその血に血を分けた兄の姿を見るからだ」



どうやらベルの幼少時代の思い出が原因らしい。

双子の兄をめった刺しにして殺し、その時のことを彼は何食わぬ顔で『ゴキブリと間違えたんだ』と言ってたそうだ。
そしてその時最高の快感を得ることができたとも―――……

ベルが暗殺部隊ヴァリアーに入隊したのは殺しの興奮を忘れられなかったから。
あの表情、無邪気でむきだしの残虐性が甦ってる。



「ベル…」



無邪気で、残虐……
ベルが最年少で入隊した理由がそれだったなんて知らなかった。

ベルは、私にいつも優しかった。
殺しを快感に思っていることは知っていたけど…そんなの、気にならないくらい。



「ロケットボム!!」



隼人がまたロケットボムを投げつける。

でもベルはよける気配がない。



「へっ!頭ん中までヤキがまわったか?」

「ししっ」



小さく笑みをこぼして、よけるどころかボムにつっこんでいく。

今、致命傷になる爆弾だけ火を消した!?
しかも爆風に乗って隼人のところに…!!

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