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会いたい、会いたくない。

話したい、話せない。


相反する思い……




43 久しぶりの再会





「勝つのオレっ!」

「ベル!?」



まだ意識が…!?ううん。あれは、無意識…?
意識はないけど、ベルの負けず嫌い…勝利への本能が今のベルを動かしている。
彼の言葉を借りるなら、“だって王子だもん”。
負けを認めない王子の本能だ。



「知れば知るほど異常な奴だ」

「そろそろ…間もなく、約束の時間です」



その言葉と同時に、三階の一角が爆発する。
まさか…もう15分経ったの!?

勝負開始から15分経過したのでハリケーンタービンの爆破が順次開始される。
図書室の推定爆破時刻はおよそ1分後。
つまり、隼人とベルには、あと1分しかないんだ。



「そんな〜!このままじゃ獄寺君が!」

「敵もろとも死んじまうぞ」

「っ!!」


イヤ…っもう誰も失いたくない…!

そう思うのに、時間は無情にも過ぎていく。――残り、45秒。



「ツナ、どーすんだ?」

「どーするって…」

「やむをえんな。リングを敵にわたして、引き上げろ隼人!!」



思わずみんな驚いていた。
さっきの勝負ではどう考えても隼人の勝利。

なのにリングを渡せ、だなんて……でも、2人が助かるには…っ



「こんなもんでくたばるなんてバカげてる!戻れ!」

「ふざけんな!オレが負けてみろ!
1勝3敗じゃもう後がねぇ!!致命的敗北なんだ!!」

「お前の相手はいかれちまってんだ!もはや勝負になっちゃいねぇ!戻るんだ!!」



シャマルの言葉にぎゅっと手を前で握りしめる。
シャマルの言うとおり……これは普通の勝負じゃない。

隼人、お願い…!戻ってきて!!
声には出せないけど…誰も失いたくないから…!!

でも、隼人は聞く耳を持たなくて、諦めて帰ってきてはくれない。



「手ぶらで戻れるかよ!!
これで戻ったら10代目の右腕の名がすたるんだよ!!」


隼人…っでも!隼人の命には替えられないよ…!!

(きっと、右腕っていうのが隼人の誇りなんだ)
(でも、誇りって、命よりも大切なものなの?)

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