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「そのロン毛はオレの相手なんだ。我慢してくれって」
「…、邪魔する者は、何人たりとも咬み殺す」
「やっべ!怒らせちまった…!!」
「恭弥、やめて!!」
美瑠の止める声に微かだけど、動揺してしまう。
その動揺が一瞬の隙になったのか、赤ん坊がニッと笑って僕の前に立っていた。
「ちゃおっス、ヒバリ!」
「!赤ん坊かい?悪いけど今取り込み中なんだ」
「ここで暴れちまってもいいが、でっけぇお楽しみがなくなるぞ」
「!楽しみ…?」
何、それ?
美瑠の結婚だなんて意味分かんない話に楽しみなんてないよ。
それとも、まだ他に隠されたことがあるのかい?
「今すぐってわけじゃねーが、ここで我慢して争奪戦で戦えば、遠くない将来、六道骸とまた戦えるかもしんねーぞ」
「!」
六道骸…美瑠の昔の(ここ大切。今は僕がいるからね)男。
そして…初めて僕の膝をつかせた男。
思い出すだけでも、あのときの屈辱がよみがえってきて、気に入らない。
「それに……」
小さく、赤ん坊が呟く。
…僕にしか聞こえないくらい、小さい声で。
「美瑠も、戻ってこられるよーになるかもしれねーんだ」
「!…ふぅん。本当かな。校舎の破損は完全に直るの」
「はい。チェルベッロが責任をもって」
「そう…気が変わったよ。僕とやる前にあそこの彼に負けないでね」
「え…」
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