6
「美瑠、行こう」
恭弥に手を差し出される。
思い出す、あの温かい手。
「………行けない、よ」
本当はその手を取りたかった。その温もりに縋りたかった。
本当は恭弥が好き。ごめんね、さっきはあんなこと言って。
助けてほしいの。このままじゃ、みんなが、恭弥が……
―――ダメ。こんなの都合のいい、妄想だ。
その手をとっちゃいけない。そう決めたの……
(本当は、あなたと話すことさえ、諦めていたから)
「…本気で、他の男と結婚するの?」
「っ!!」
したくない…っ!本当に好きなのは恭弥だけ!
恭弥だけなのに…っ
でも、言えない。言っちゃいけない。
(もう、恭弥の温もりを感じることもできない)
私は何も言えず、何も行動もできずに、ただ俯くことしかできなかった。
「…じゃあね」
「……っ」
自分で選んだはずなのに。
恭弥の『じゃあね』がこんなにもショックだなんて……
(背を向ける恭弥の顔が、すごく悲しげで)
(そんな顔させたくなかった……)
- 267 -
*前次#
ページ:
back
ALICE+