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「(…っどうなってるの?)」
差し出した手をグッと強く握りしめる。
いつもなら握りかえしてくれる。
嬉しそうに笑って、優しく、手を取ってくれて……
でも、その温もりは、ない。
(握りしめた拳は痛くなかった)(何も、感じない)
僕がいない間に何があったの?
指輪…僕があげた指輪もしてなかった……
本当に結婚するの?
あの時嬉しそうに笑ったのは、嘘だったの?
―――じゃあ、なんで、美瑠は僕を見ない…?
美瑠は話している間、一度も僕を見なかった。
ただ、何かに耐えるように、手を握りしめて…俯いて。
…違う。惑わされちゃいけない。
言葉では何とでも言える。…人は、嘘をつくものだから。
きっと、美瑠は何かを隠してる。結婚するっていっても、美瑠の口からきいたわけじゃない。
あのロン毛が言ったことを、否定しなかっただけだ。
それは、肯定であって、…認めたわけじゃない。
『恭弥』
『…恭弥…』
笑った顔。…さっきの、泣きそうな、顔。
ごめん、といった声は、どこまでも悲しそうで…苦しそうだった。
―――ねぇ、美瑠。
僕は、信じていいんだよね。君の笑顔を。今までの君の言葉を。
さっきの君は、…泣いているように感じたんだ。
泣いている君は、きっと、強がってる。
僕の気持ちは変わらない。美瑠が、好きだ。
だから…君を信じたい。
(信じさせて)
(君の気持ちを…僕の気持ちを)
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