7



「(…っどうなってるの?)」



差し出した手をグッと強く握りしめる。

いつもなら握りかえしてくれる。
嬉しそうに笑って、優しく、手を取ってくれて……

でも、その温もりは、ない。


(握りしめた拳は痛くなかった)(何も、感じない)



僕がいない間に何があったの?

指輪…僕があげた指輪もしてなかった……


本当に結婚するの?

あの時嬉しそうに笑ったのは、嘘だったの?



―――じゃあ、なんで、美瑠は僕を見ない…?

美瑠は話している間、一度も僕を見なかった。
ただ、何かに耐えるように、手を握りしめて…俯いて。


…違う。惑わされちゃいけない。

言葉では何とでも言える。…人は、嘘をつくものだから。

きっと、美瑠は何かを隠してる。結婚するっていっても、美瑠の口からきいたわけじゃない。
あのロン毛が言ったことを、否定しなかっただけだ。
それは、肯定であって、…認めたわけじゃない。



『恭弥』

『…恭弥…』


笑った顔。…さっきの、泣きそうな、顔。
ごめん、といった声は、どこまでも悲しそうで…苦しそうだった。

―――ねぇ、美瑠。

僕は、信じていいんだよね。君の笑顔を。今までの君の言葉を。
さっきの君は、…泣いているように感じたんだ。
泣いている君は、きっと、強がってる。


僕の気持ちは変わらない。美瑠が、好きだ。


だから…君を信じたい。


(信じさせて)

(君の気持ちを…僕の気持ちを)

- 268 -

*前次#


ページ:

back
ALICE+