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私はみんな大切なの。
いくらこっちにいようと…心配するし応援する。

だからお願い……死なないで――……




44 雨の守護者





「よぉ恭弥」

「…何の用?」




学校の屋上。
恭弥は屋上のふちに片足を立てて眠そうにあくびしながらその下を興味なさそうに見ていた。

そういえば最初はここでやりあってたんだっけか。
あーまだ血の跡とか残ってんな……後でロマーリオに言って痕跡を消してもらわねぇと。



「お前、昨日来たんだろ?」

「……」

「美瑠には、会ったのか?」

「…、…会ったよ」

「そっか…何て、言ってたんだ?」

「…結婚」

「お前、結婚すんのか!?」


大声でビックリしたら恭弥に冷めた目で見られた。

お前、『何言ってんの?』的な視線はむけんなよ…
オレが軽く頭が軽い奴に見えんだろ…。



「違う。美瑠、他の男と、結婚するんだってさ」

「!!どーいうことだ!?一体誰と!?」



んな話聞いてねーって!!
聞いたのは美瑠がヴァリアー側に行ったってことくらいだぜ!?

…まさか、



「XANXUSか…?」

「…!あなたも知ってたの」



ギロリ、と今にも殺さんばかりの鋭い眼光で睨まれる。

…どうやら、そうらしいな。
確かに、このままザンザスが勝てばザンザスは10代目になり、美瑠と結婚できる。
美瑠が月の守護者である限り、その掟は有効だった。
月はボンゴレボスと結婚するという運命であることは知っていたが…まさか、美瑠がザンザスと結婚すると言い出すとは……

…いや、違うな。きっとザンザスが、美瑠を……



「俺は詳しいことは知らなかった。ずっとお前といたんだからな」

「…で、あなたは何の用なの?」

「あぁ。そろそろリングのこと聞いてくれてもいいんじゃねぇかなって思ってな」

「まぁ…いいけど」

「よかったぜ…でも、意外だな。美瑠が結婚っつってもキレてねーんだな」

「どこみて言ってんの?もうすでにキレてるよ」



即答する恭弥に小さく苦笑する。

やっぱ怒ってんだな。まぁ、暴れ出さないだけ、ましか。
でも、と恭弥がどこか遠くをしっかりと見据えて言い切った。



「美瑠が僕を裏切るなんてこと、絶対にないって信じてる」



…――やっぱ強ぇな、恭弥は。

あんなにまっすぐ信じられる。
きっと、傷ついたはずだ。自分の好きなやつがほかのやつと結婚するだなんて言い出したら。
でも、言葉に惑わされず…美瑠の気持ちを信じている。

そうだよな…信じればいいんだよな……

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