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「それとは別に一つ腑に落ちねえことがある。
貴様なぜ今の一太刀に、刃ではなく峰をつかった?」

「そりゃあオレはあんたに勝つためにやってんで、殺すためじゃねーからな」

「武…」



ありがとう…甘くない、甘くないよ…っ
武も、同じことを思っててくれたんだね。

(殺さない。…だって、みんなは殺し屋でも、本物のマフィアでもないんだから)

でも、その甘チャンな言葉をスクアーロが許してくれるわけがない。



「う゛お゛ぉい!!すいぶんナメてくれたなぁ!!
まだ自分の置かれた状況がわかってねぇようだなぁ!!
その生意気な口をきけなくしてやる!!」



二人同時に同じような水の柱を立てる。

あれじゃ、視界が…そう思っているとスクアーロが剣を振り抜く。
…今度こそは武に当たってしまい、武から一筋の血が流れる。
その小さな怪我では絶対に見られないくらいのたくさんの血にぎゅっと目をつぶって目をそむけた。

血なんて見慣れているはずなのに……

(友達の血なんて、見たくないよ…っ)



「どうだぁ!痛いかぁ!?
最後に絶望的なバッドニュースを教えてやる。
貴様の技はすべて見切ってるぜぇ。
その時雨蒼燕流は昔ひねりつぶした流派だからなぁ!!」

「「…!!」」

「時雨蒼燕流を昔つぶしただって…!?」



信じがたい言葉。潰したなら、本来今あるはずのない流派ということになる。

スクアーロは剣帝を倒し、極めた剣を試すため強い相手を探していた。
そんな折り、細々と継承されている完全無欠の暗殺の剣が東洋にあると聞いた。

それが時雨蒼燕流。

継承者と弟子の3人を見つけ、その人たちは武と同じ八つの型を使った。



「だが所詮はロートル剣術の亜流!!すべての型を受け!!見切り!!切り刻んでやったぞぉ!!」

「そ…そんなことって!」

「恐らく本当の話だぞ」

「スクアーロの技の見切りは反射レベルよりもう一ランク早い」



やっぱり、すでに型を受けていた流派だったんだ…!
これじゃあ武は負けたのと同じだよ……
技を知っているのと知らないとでは圧倒的に戦い方が違う。
知っているのなら、すべての技が利かないという意味だ。

たらり、と冷や汗が背中を流れる。
ただでさえスクアーロという実力の差がある相手だっていうのに…!

でも、そんな私の焦りとは別に武は「聞いてねーな、そんな話…」と不敵に笑う。



「オレの聞いた時雨蒼燕流は完全無欠最強無敵なんでね」

「う゛お゛ぉい!!バカか貴様は!!」

「やってみなきゃわかんねーって」

「もう加減はしねぇぞぉ」


「スクアーロが牙を剥く」



二人が攻撃を開始する。
スクアーロの剣がコンクリートを抉った。
コンクリートを抉った破片が武の目に入ってしまう。

痛さで武は動きがとまるが、スクアーロが絶好のチャンスとばかりに攻撃してきた。



「動き出したら止まらねーぞぉ!!」

「くっ」



五月雨



「(今スクアーロが、笑った!?)」



――ガキィィィィ


スクアーロと武の剣が交わる。

でも、スクアーロは次のモーションに入ってるのに武が動かない!!

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