まだ日も昇らぬ早朝―――私は眠い目を擦りながら手際よく手を進めていく。
頭が少しぼぉっとしているけれど手順だけは間違えない。
それにしっかりと何を作ろうか、と回転だけはしていた。

彩り、見た目、味、全てを兼ね備えるものを作らないと、と気合いが入っているからか
次第に頭も覚醒しはじめて料理にも熱がこもり始めてきた。

そして……






6 体育祭はハプニングだらけ!前編






「できた!」




満足げな息をついてできあがったお弁当を見やる。
忘れないうちにお箸とお皿を用意して昨日探し出したバッグの中に詰め込んだ。

詰め込んだ、のはいいけど……かなり重い。
やっぱり重箱五段は気合い入れすぎたかな?
それにもし恭弥が小食だったら……あ、すごくありえそう。

だって恭弥すごく細いし、痩せてるから。
と、なるとほとんど残ってしまう可能性大、だけど……

でも…恭弥の喜ぶ顔が、見たいからこの量を持っていこう。

そっと恭弥の笑顔を思い出して、胸を温かくさせながらエプロンを脱ぐ。




「喜んでくれると、いいな…」




そう小さな期待を膨らませながら、私は並中の制服に着替え始めた。

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