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重いバッグを修行だ、と無理矢理な理由をつけて運んでいると見慣れた後ろ姿を発見した。
男の子にしては華奢で、ツンツンと跳ねている亜麻色の髪の人…ツナだ。
私はバッグを肩にかけ直して重箱を揺らさないようにしながら小走りでツナに近寄った。
「おはよう!ツナ」
「美瑠ちゃん…おはよ」
「…?どうしたの?なんだか元気ないけど…」
いつもならはにかむような笑顔で「おはよう!」って言ってくれるのに。
そういえばよく見ると心なしかツナの顔色が悪い気がする。
私の言葉にツナは力無く苦笑した。
「実は……熱があるんだ」
「えっ!大丈夫?休まなくていいの?」
「休みたい、けど…」
母さん達、聞いてくれなくて。
そう言うツナは聞いてくれない奈々さん達のことを怒っている風はない。
寧ろ言えなかった自分に苦笑しているみたいだった。
―――なんて優しいんだろう。
もう、その優しさに私の方が感動してしまう。
リボーンも気づかなかったのかな?…それとも気づいていてわざと送り出したのかな?
きっとリボーンのことだから後者だろう。
ニッと不敵に笑う家庭教師様を思い出して苦笑すると少しツナの顔を覗き込む。
「ツナ、ちょっとごめんね」
「……っ!」
―――コツンッ
そんなおでことおでこのぶつかり合いの音がしてツナと私の額を合わせる。
少し目を伏せてツナの体温を感じていると、やっぱり少し高い気がした。
このまま出たら風邪こじらせちゃうかも……あれ?なんだか熱が上がった気がする。
パッと目を開けてみればツナの真っ赤な顔が目に入った。
「ツナ、すごく顔赤いよ!熱も高いし、キツイんじゃ……っ」
「ち、違っ…大丈夫!大丈夫だから!」
「でも、こんなに真っ赤…」
「ああああっ!大丈夫本当に大丈夫!」
ツナの頬に手が触れようとするとツナは勢いよく私から距離をとって更に顔を赤くさせて
壊れたラジオみたいに大丈夫、と繰り返していた。
…ほ、本当に大丈夫、かな…?
ますます心配が増していってツナ、と彼の名前を呼んだ。
「保健室行こう?じゃないと本当にこじらせちゃうから」
「う、うん…」
頷いたツナにひとまず一安心。
じゃ、学校行こうか、と促すと少し重たそうに足が動き始めた。
(その時ツナが今まで悩んでいた棒倒しのことをすっかり忘れてしまったことなんて知らずに)
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