8
「どーしたツナ?」
リボーンの声にツナを見ると何か様子が変だった。
何かに怯えたような、そんな…きっと、ツナも同じことを感じているのだろう。
リボーンが不思議そうに見つめれば、ツナは頭を押さえる。あいつが、来る!と言って。
「六道骸が!!骸が来る!!!」
「ムム!?」
粉々にしたはずのトライデントの粒子が集まっていく。
そして、霧の中から聞こえてくる、彼独特の笑い声。
…よかった…っ来てくれた…!
そう安心していると突然、何かに操られているように地面が抉れていく。
「ムギャ!!」
「クフフフ。随分いきがっているじゃありませんか。――マフィア風情が」
「骸…」
本当に、来てくれたんだね。
お兄さんやバジルが誰だ、と困惑している。
そっか。バジルと京子のお兄さんは知らないんだよね。会うのが、今日が初めてなんだ。
「お久しぶりです。舞い戻ってきましたよ…輪廻の果てより」
「…ウム。六道骸…どこかで聞いた名だと思ったが思いだしたよ。
確か一月程前だ。ヴィンディチェの牢獄で脱走を試みた者がいた。そいつの名が六道骸」
「ま…っまた脱走したの――!!?」
「だが脱走は失敗に終わったはず。
更に脱走の困難な光も音も届かない最下層の牢獄にぶちこまれたと聞いたよ」
「!!」
マーモンの言葉にツナが息をのんだのがわかった。
骸はマーモンの言葉に笑うだけで否定も肯定もしない。
…マーモンの言葉は、本当のことだった。
骸の体は実際にまだ復讐者の牢獄の中。…ここにいる骸は、体本体は違う。
でも、きっとそんなことを知ったらツナはまた悲しむ。
骸はわかっているんだ。弱くも、強いツナが心を痛めることに。そして、その同情が何よりもしてもらいたくなかった。
「クフフフ。ボンゴレが誇る特殊暗殺部隊ヴァリアーの情報網もたかが知れてますね」
「ム」
「現に僕はここに在る」
「面倒くさい奴だなぁ。いいよ、はっきりさせよう。君は女についた幻覚だろ」
「おや」
寒…っ!すごい吹雪…骸が凍り付けになっていってる。
でも骸は全然慌ててないみたいで、楽しそうにおやおや?と笑っていた。
そして、完全に骸は凍りついていた。
「さて化けの皮をはがそうか。もっとも砕け散るのはさっきの女の体だろうけどね」
マーモン…砕くつもり?まだ、骸が完全に凍り付いてしまったわけじゃないのに。
骸の左目が、六から一に変化する。
その瞬間、マーモンの体に蓮が巻きついていく。一瞬のうちに骸は氷を解くとニヤリと笑った。
「誰が幻覚ですか?」
「何て…力だ…!く、苦しい…!!」
ギリギリと蓮の花がマーモンの体を締め上げていく。
それは…骸が、マーモンを圧倒してる証拠。でもツナ達には一つ、疑問が残る。
クローム髑髏は一体どうなるのか。
骸の幻覚なのか…それとも、現実なのか。
その答えは、リボーンが答えた。
クロームがいるから骸は存在し、骸がいるからクロームは生きていられるんだ、と。
でもツナ達には難しかったようで、困惑しているみんなを尻目にリボーンは密かに、呟いた。
「今はこーするしかねーんだ」と。
そう言っている間に戦いは激化していく。
骸の圧倒的な力に、マーモンも焦りを禁じ得なかった。
全力を出すが簡単に覆されてしまう。みんなが、幻覚汚染されてしまうほど……
「ぐっ…頭が、われそうだ…」
突然の、頭痛。
思わず膝をついてしまうとゴポッと気泡の割れる音が聞こえた。
水…?こんなところに、どうして水が……
意志に反して、流れていく映像。―――水の中で何重もの鎖に縛られている骸の姿。
なんだよ…何で、骸が、
同時に頭に痛みが走り、何とも言えない感情のようなものが入ってくる。
それは……オレの知らない、出来事。
- 286 -
*前次#
ページ:
back
ALICE+