46



オレは知らなかったんだ。何も……

骸が犯した罪の重さも。
美瑠ちゃんの、助けも……




46 空白の時間、イタリアでの秘密




「それでも霧の守護者になってほしい、六道骸」



僕を霧の守護者に、という沢田家光に諦めの悪い人だと内心笑う。

僕の体は復讐者の最下層の牢獄の中。…力もうまくは使えない。
大体、僕はあの沢田綱吉を乗っ取ろうとした男だ。
そんな男を守護者にしたいなど、頭がどうかしているとしか思えない。



「ですがもうここにとどまれるのも時間の問題…」

「そのために、私が来たんだよ」



ドアが開き、美瑠が姿を現す。
思わず僕は目を見開いていた。まさかここに美瑠が来るなんて……

(でも、また会えて嬉しいのも、事実)



「美瑠…」

「久しぶり、骸。また会えて本当に嬉しい」

「僕も、です」



少し微笑んで美瑠が僕の…いや、凪の手を握った。

真っ直ぐな目で僕を見つめる。


(その視線は、あの時と同じ目…)



「骸に、力をあげるから」

「!まさか天秤の力を僕に使う気ですか?
ダメですよ。もしまた力を使いすぎてしまったら…」

「大丈夫だよ。私はそこまで弱くない。
それに骸のために力を使うんだもん。これでまた、声を失っても…絶対、後悔しないから」



断言して笑う美瑠に僕は何も言えない。

美瑠の笑顔はずるい。
ある時は僕を安心させて、ある時は何も言えなくなる。

でも、そんな笑顔で笑う美瑠が大好きなんですよね……



「…敵わないですね」

「この女の子と、話せる?」

「はい。では交代しますね」



女の子が目をつぶり、すぐに開かれる。

骸の感じがしない…女の子の気配だ。交代したんだね。



「誰…?」



女の子らしい可愛い高い声。

私はこの子が骸を助けてくれたんだと思うと自然に笑っていた。



「初めまして、私は美瑠。あなたの名前は?」

「…凪」



不思議…美瑠、さん、が笑ったときすごく安心した……

(今まで、骸様達以外心を許したことなんてなかったのに)

(この人は…信じれる、って思ったの)

- 287 -

*前次#


ページ:

back
ALICE+