学校について教室には行かず、すぐにツナを連れて医務室へと向かう。
幸いなことにツナの足取りはしっかりしているから倒れることなく到着できた。

初めてきたんだけど…医務室の先生って誰だったかな?たぶん、女性だよね。

こんこん、と一応ノックしてツナを先に入らせた。
私が病人だって勘違いされたら大変だから。




「すみません…カゼひいてあの……熱あるみたいで……」




ツナも慣れてないのかな…?
しどろもどろになって、時々私の方を振り向くツナに頑張れ、と小声で応援する。

小動物みたいで可愛いし、どこか母性本能を擽られるというか…って何考えてるの私!
ツナは同級生で、同じ歳なのに!

違う違う、と首を振ると聞き慣れたような低い声が聞こえる。
聞き慣れた、というより聞いたことのある、男性の声。




「カゼぐらいで休ませねーよ」

「はあ!?」

「つーか男に貸すベッドはねーんだ。
女性はいつでも歓迎だけどな。って美瑠!
美瑠じゃねぇか!オレに会いに来てくれたんだな!」




特別可愛い子にはおじちゃんがちゅーしてあげるよー!なんて言いながら向かってくる男の人。
30近い男の人が、と呆れるのと同時に変わらない、と苦笑する。
ツナがDr.シャマル、と彼の名前を呼ぶと同時に向かってきた彼を避ける。

じゃないと私のファーストキスが奪われちゃうからね。

ひょいっと避ければシャマルは漫画みたいに顔面を木にぶつけていた。

うん、期待を裏切らない反応ありがとう。



「シャマル……なんでここに?
それにシャマルに会いに来たんじゃないよ、ツナの付き添い!」

「つれないこというなよー
ここにいんのはちっと夜遊びしすぎてオケラになっちまってな。
したらここで養護教諭募集してっだろ?」

「知らないよ、生徒だから!それにシャマルが先生だなんて…」




似合わない、というより本音は嫌。
セクハラしそうだし、今だって女の子にしかベッド貸さないとか、一歩間違えたら犯罪になりそうな発言してるし。

前はもっとキリッとしていて、もっと真面目な人だった気がするんだけどなぁ。

人って変わっちゃうものなんだね……今、私は大人の階段を上った気がするよ。




「かっこいいだろ?」

「…うーん。じゃあ、先生。
ツナ風邪ひいてるの。寝かせてくれないかな?」

「オレとちゅーしてくれたらこいつ寝かせてあげるよー!」




こんな先生いていいの!?
ツナもシャマルの女好きに引いちゃってるし……

シャマルもよく並中の先生になれたよね。
確かに腕は一流どころか超、がついちゃうほど一流だけど、性格が、ね…?
もしかしたら面接とかなかったのかもしれない。

いつか首にならないといいね、本当に……

んー、と唇を尖らせるシャマルを少しだけ無視してツナに苦笑しながら向き直る。




「ごめんね、ツナ……
ツナの風邪のことは心配だけど、シャマルとはキスしたくない…」

「あ、いいよ!美瑠ちゃんがキスしてまで休みたくないから!」

「ホント…ごめんね」




ツナのために!とまでまだできないの……
確かにツナはとてもいい人だし、将来ボンゴレのボスになるから忠誠を誓わないといけない。

でも今はツナにとって私は友だち、なんだよね…?

友だちのために命は張れるけど…さすがにこれだけは……
やっぱりこういうのは好きな人と…ってわっ、私恥ずかしい!
なんでシャマルのキスって言葉だけでここまで考えちゃってるんだろう!

今きっと少しだけ顔が赤いはず。




「本当に大丈夫だから!オレ、グラウンド行ってくるね!」

「えっ…あ、ツナ!」




待って、と呼び止める前にツナは風のように出て行ってしまった。

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