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きっとザンザスは、不器用なんだよ。

愛し方を、知らないの……




48 歪んだ愛情




「9代目…!?」

「お祖父様っ!!!」



嘘…どうして…っ何で!?お祖父様…が…どうしてっ!

頭が真っ白になりながらもお祖父様のところまで駆け寄る。



「ど…どうなってんだ…?…え?なんで…モスカ…から!?」

「お祖父様!!しっかりしてくださいっ」



ぎゅっと手をにぎって天秤の力を発動させる。

ぽぉっと小さく火がともったけど…目を覚まさない…っ
天秤は命の炎である死ぬ気の炎を増幅させる力がある。

お願い…お祖父様…!!目をあけて…!!!



「おい、しっかりしろ!」



ぎゅっと祈るように手を握る。

力が足りないの…!?


「ちっ、モスカの構造…前に一度だけ見たことがある。
9代目は…ゴーラ・モスカの動力源にされてたみてーだな」

「!動力源!?」

「そんな!」

「嘘…っ」



動力源だなんて…こんなに、側にいて苦しまれてたの…?

(ずっと、ずっと、モスカは側にいたのに)
(どうして…気づいてあげれなかったの…っ)



「ど…どーして!?」

「どーしてじゃねーだろ!てめーが9代目を手にかけたんだぞ」

「オ…オレが…?あ……」


そうだ……

オレが…モスカ、を…自分で…っ



「やべーな。応急処置でなんとかなる傷じゃねぇ…」


美瑠がさっきから力を送り続けてるが…

あれは力を送るだけで治癒じゃないからな。



「誰だ?じじいを容赦なくぶん殴ったのは」

「!」

「誰だぁ?モスカごとじじいを真っ二つに焼き切ってたのはよぉ」

「!!オ…オレが…9代目を…」

「…違う……」

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