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運動場に出るとたくさんの生徒達がこれから始まる体育祭に胸を躍らせていた。
みんないい笑顔で話していて…やる気がこっちまで伝わってくる。
少し辺りを見渡すと綺麗な桜色の髪が黒髪だらけの中で映えた。
すらりとした体に遠目でもスタイルの良さがわかる。
その見覚えのある、懐かしい姿に私は思わず駆けだしていた。
「ビアンキ!」
「…!美瑠!」
顔を明るくして笑顔を浮かべてくれるビアンキに思いっきり抱きつく。
ぎゅうっとするとビアンキが嬉しそうに抱き締め返してくれた。
ふわり、と香るビアンキの変わらない香水の香りにとても安心する。
しばらく再会の抱擁を交わして、ゆっくり体を離してお互いに顔をあわせた。
「久しぶりね、本当に…」
「相変わらず綺麗だね、ビアンキ」
「美瑠は相変わらず言葉上手ね」
嬉しいわ、と微笑むビアンキはやっぱり綺麗で。
でも否定しないところがやっぱりビアンキらしくて、ホッとする。
ビアンキちゃんとも知り合いだったのね、という声が聞こえて、少し視線をずらすと微笑んでいる奈々さんが目に入った。
その隣にはボヴィーノファミリーのランボがお弁当をつまんでいる。
日本にリボーンを殺しにやってきたっていう噂は本当だったんだ…!
「奈々さん、こんにちは!」
「こんにちは。元気ね、美瑠ちゃん」
はい!と挨拶すると微笑ましそうに奈々さんが笑ってくれる。
この笑顔……すごく優しくて、なんでも包み込んでくれそうな笑顔。
本当にこの笑顔は素敵だと思う。
「美瑠、会えて嬉しいけれどどうして日本にいるのかしら」
「九代目が私に普通の女の子としての思い出を作って欲しいって。
後、ツナのサポートもしてほしいって頼まれたの」
「美瑠も?リボーンもいるのに……」
そんなにツナがいいかしら、と憂いのような溜息をつく。
そっか…リボーンはビアンキにとって大切な人。
もちろん私がリボーンのことを大切に思っているこの気持ちとは違う、大切。
恋人とか、二人の場合愛人という愛情の大切さ。
それにビアンキはいつも「リボーンは殺し屋として最高のパートナー」って言ってた。
家庭教師をしている間はリボーンもヒットマンとしての仕事はしない。
だからビアンキは一緒に仕事もしたいってことなんだよね。
「あくまで一緒にいるだけだから。…あれ?」
「はひっ!」
私の視線が突然向いたことに吃驚したのかビクッと肩を揺らす女の子。
高くあげられたポニーテールが女の子の元気良さを表しているよう。
並中の制服じゃない、私服を着ているこの子に安心するようニコリ、と笑いかける。
「こんにちは」
「こ、こんにちは…!あのっ、お姉さんのお名前はなんていうんですか?」
「彼方美瑠っていいます。貴女は…?」
「三浦ハルです!すごくビューティーさんですね!」
「ありがとう。でもハルの方がビューティーだよ」
「(は、はひー!)」
あれ?何故かハルが自分の手を頬に当てて顔を赤くしてる。
ビアンキは「ここにも一人美瑠のファンができちゃったわね」なんて呟いてるし……私のファンなんてどこにもいないよ?
首を傾げると機械音と共に体育祭の放送が入る。
一年女子リレー…って私も出るんだった!
「あ、もう行かなきゃ!また後でね、ビアンキ、ハル」
「えぇ、後でね」
「はひ…エレガントビュティーすぎます…」
最後まで褒めてくれるハルに笑って二人、ううん、奈々さんも入れて三人に手を振る。
奈々さんも気づいてくれたみたいで頑張ってね、と手を振り返してくれた。
大きく手を振り返して急いでスタート場所に向かう。
実は私、いきなりアンカーを任されてしまったのだ。
最初は無理だよ、って断ったんだけど、みんながどうしても美瑠ちゃんに走って欲しいって言ってくれたから走ることにしたんだ。
アンカーなんて責任重大で緊張する……いつも通り走っていれば大丈夫だよね?
あ、大丈夫といえばツナは風邪どうしたんだろう…?
さっき向かってる途中で美瑠ちゃん頑張れ、って手を振ってくれたけれど……
あ、いけない…集中しないと!
―――きっと恭弥が応援してくれているはずだから。
(心強い味方だよね)
(…味方、なのかな?もっと違う何かのような気がするんだけど)
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