4



「飛行機の準備ができたらしいぞ」

「なら、行こっか」



小さなバックを持って五番ゲートに向かう。

自家飛行機だから準備が早いね。
ディーノと一緒に審査を受けてゲートをくぐろうとする。

少し足をとめてふり返ってしまった。

やっぱり未練がましいなぁ……

もう、ふり返っちゃダメなのに……


少し苦笑をもらしてディーノに笑いかける。



「行こう」



一歩足を踏み出した瞬間にハッとした。

…今…恭弥の声がした……

まさか。聞き間違いだよ……恭弥は何も知らないんだから。



「美瑠!!」

「(え…うそっ……)」



ふり返っちゃダメ。
ふり返ったら、後悔しちゃう。

違う。あの声は恭弥じゃない…っ

(そう言い聞かせているはずなのに)
(どうしても恭弥の声に聞こえちゃう…)



「美瑠、待って!!」

「…っ」



ディーノは何も言わない。
私に振り向けとも、行くぞとも言わない。

ただ、私が選択するのを見ている。



「美瑠、僕に黙って行くつもりだったわけ?」



しょうがないよ……

恭弥のこと、嫌いって言ったり…みんなを傷つけちゃったんだから。

なら、何も言わないで行った方が、いいの。



「僕の気持ち、知ってて行っちゃうつもりだったの?」

「(恭弥の気持ち…)」



私を精一杯愛してくれた。

わかってるよ……それは、一番…わかってる。

だから…っお別れしたくなかったのに…!



「…僕は美瑠しかいらない」

「…っ」



恭弥の言葉に、封印してきた気持ちが溢れ出す。

無意識的につけていた指輪をそっと見つめた。


私も…愛してるよっ……

ずっとずっと側にいたいよ…!!



「美瑠」

「ディーノ、」


涙が溢れるのがわかる。
濡れた目でぼやけてみえるディーノは優しく微笑んでくれていた。



「お前は、後悔しない選択肢をいつも選んでるんだろ?なら、自分の心に正直になれ」



私…自分の心に正直になっていいの…?

恭弥に、好きって言っていいの…っ?



「美瑠…愛してる」

「……っ!!」



振り向いて、恭弥の胸に飛び込む。

温かくて、優しい…恭弥の体温。



「愛してる、恭弥…!」



本当は、嬉しかった。

恭弥がここまできてくれて、すごく、すごく嬉しかった。



「美瑠…っ」

「恭弥…!好き…っ私も、恭弥のこと…愛してる、の…っ!!」



好き、大好き…愛してる……

もう、自分の気持ちに嘘はつけない!

ずっと、ずっと言いたかった。


何度も叫びたかった。


恭弥、愛してるっって。

ずっと、心の中で叫んでた…っ



「愛してる、美瑠…僕も…っ
だから、いなくならないで。

ずっと…側に、いて…っ!」


「恭弥…恭弥っ…」



愛しさが止まらなくて。

力強く抱き締めながら、口づける。


離したくない、ずっと側にいて。



―――愛してる。


そんな気持ちをこめて、深く、甘い、激しいキスを……

- 322 -

*前次#


ページ:

back
ALICE+