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未来、という言葉にはいつも輝かしいとか希望に満ち溢れた言葉が修飾されるから、オレはそんなに華やかなものじゃなくてもいい…ありふれていてもみんなが笑顔でいられる。
…そんな、小さな幸せな未来を思い浮かべていた。

けど、現実はもっと厳しくて。…まっていたのは、最悪ともいえる未来。


―――ボンゴレ狩り、百蘭、匣、リング……


知らないものばかりの世界にオレは飛ばされ、消えていたリボーンと10年後の山本と一緒に未だに信じられないけど、10年後のオレが作らせたというアジトに来ていた。

リボーンがいうにはこの状況を打破するために守護者を集めなければならない、という。
ボンゴレに危機が訪れるとき、必ず大空は6人の守護者を集め、どんな困難をもぶち破る、と。

そういわれたとき、微かな違和感を感じた。


―――6人。


確かにリボーンはそう言った。でも………



「ちょっと待てよ、リボーン!6人って…美瑠ちゃんは?」

「……、……」



歴代は6人の守護者でよかった。だって、月の守護者は初代と10代目にしかいない。
だからと言ってリボーンが、美瑠ちゃん大好きなリボーンがわざわざ美瑠ちゃんを外すような言い方をするはずがない。


……美瑠ちゃんに、何かない限り……


美瑠ちゃん、と言った瞬間、山本が目を伏せ、リボーンはあからさまに黙った。

ボンゴレ狩りという恐ろしいものが決行されている今の状況から判断すれば、それは……



「まさか、美瑠ちゃん……っ」

「…捕まってんだ」

「え…?」



死んでしまったんじゃ、という最悪の状況を想像すれば、山本は違う、と頭を振る。


捕まっている。…誰、に?

いや、この話からすれば自然な流れ的にはミルフィオーレに、だろう。

だけど、ミルフィオーレは自分たちボンゴレを一人残らず殲滅したい、と思っているはず。


…美瑠ちゃんを捕虜のように扱っているのは、美瑠ちゃんが世界に一人しかいない天秤の力を持っているから…?


オレの考えが伝わったんだろう。山本はすごく厳しい表情をした。



「ツナが考えている通り、あいつらは美瑠の力を利用しようとしている。
…今頃どんな酷ぇことをされてるかわからねぇ…っ」



ギリッと、強く山本は拳を握って悔しそうに搾り出すように声を出す。
そんな山本にかける言葉が見つからなくてオレはただ、俯くことしかできなかった。


そんなオレ達にリボーンは「後悔すんじゃねぇ」と叱咤する。


今できることだけを考えろ、と。

…オレには自分にもそう言い聞かせているようにも見えた。

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