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そしてその視線は次第にオレ達の方に向かって、
「…つな……」
「…っ、…あっ」
「……よか、った…」
やっと、あえたね。
美瑠ちゃんはそうふわり、と泥だらけの顔のまま、オレの知っている美瑠ちゃんより大人っぽく綺麗に笑うと力尽きたように気を失った。
「美瑠!」と山本は慌ててゆすったけど、リボーンが「気を失っただけだ。寝かせてやれ」とそんな山本をなだめる。
山本も美瑠ちゃんが気を失っただけだとわかると肩の力が抜けたように一息ついて苦笑をもらした。
まじで焦ったぜ、と。
その顔がどこかオレの知っている十年前と被って、どこか安心させられた。
…それにしても大丈夫かな、美瑠ちゃん……あ、大人だから美瑠さん、かな…?
思わず大丈夫なの?と触診をしていたリボーンに聞けば「栄養失調と過労だ」と返される。
リボーンは美瑠さんを労わるようにそっと優しく頭を一撫ですると山本に救護室に連れて行くように言った。
服の着替えはラルにしてもらえ、と付け加えて。
その言葉に山本は頷くとオレ達にニカッといつものような笑みを浮かべる。
「とりあえず雲雀を探しに行こうぜ」
「は、はい!」
「並盛好きのあいつのことだ。きっとこの町に手がかりはあるはずだ。
オレはいけねぇがしっかり連れて帰って来い」
“オレはいけねぇが”
そんな言葉が入っていて、自然とオレの中の不安が膨らんでいく。
詳しくはわからないけどこの時代はリボーンたちが外に出られないくらい住みにくいらしい。
白い全身スーツを着ていないと体調最悪なんだ、と本人はいつもとなんら変わらない表情で言っていたけどきっとそれは本音で、すごく辛いんだと思う。
そう思ったら自然と眉間に皺がよって、リボーンのことが心配になる。
「お前…そんなに外だと体調酷いのか…?」
「余計な心配すんな。いずれこの話はしてやる」
準備しろ、とリボーンはオレを促すけど、先のラルとの戦闘が頭をふとよぎる。
あの時ほど、リボーンの存在の大きさを知らされたことはない……
リボーンなしじゃ、オレは半人前で…何もできないんだ。
いつもオレがヤバイとき、リボーンは必ず側にいて、やり方は滅茶苦茶だけど助けてくれた。
十年後という右も左もわからない世界でリボーンなしで行動するなんて……
そんなオレの不安がリボーンに伝わってしまったのか、さらに言葉を重ねる。
「山本がついてるぞ。奴はこの時代の戦いを熟知している」
「そう…だけど…」
「なーにビビるこたぁないさ。
お前たちはこの時代のオレ達が失ったすんげー力を持ってんじゃねぇか」
「…!?失った、すんげー力…?」
“失った”すごい力。
それが一体何を意味することなのかよくわからなかったから軽く首を傾げると、山本は小さな哀愁を一瞬だけ表情に出したがすぐに真剣な表情に戻る。
その真剣な表情に、小さな不敵な笑みを浮かべながら……
「お前たちは希望と共に来てくれたんだ」
――――ボンゴレリングっていうな。
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