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10年前の髑髏が了平さんと一緒にボンゴレに来たという知らせを聞いて、私もボンゴレの施設へと向かう。
髑髏が医務室にいると聞いていたので、医務室に入ると点滴に繋がれている髑髏がいた。
少しだけ痩せたみたい…グロ・キシニアと戦ったって聞いたけど…大きなけがは見当たらない。

よかった、と安心し、髑髏の手を握るとバチリという音を立てて私の中に何かの映像が流れてくる。

骸に…あれは、白蘭…!どうして、骸が白蘭に接触して…っ

そう焦っていると白蘭から骸は攻撃され、



「骸っ…!!」

「ガハッ…!」

「…っ、髑髏…!!」



突然、髑髏の内臓が失われて、髑髏の容態が急変する。
慌てて天秤の力を送ったけど、天秤の力に治癒の力はない。
壊れていく内臓をとめることができなくて、ぎゅっと髑髏の手を握ることしかできない。

まさか、骸の身に何かあったの…!?さっきの映像は、



「クローム!!」

「ツナっ…」

「美瑠ちゃんも!…っ、クローム、しっかりしろ!死んじゃだめだ!」

「…ボ…ス…?…美瑠、さまも…」

「そうだよ、オレだよ!しっかりするんだ!!」



入ってきたツナが私と反対側の髑髏の手を握り締める。
ぎゅっと握った手に髑髏は「あったかい…」と嬉しそうに呟く。



「…ボ…ス…骸、さまを…」

「骸が…どうしたんだ?」

「がふっ!!」

「クローム!!」



血が止まらない。どうしよう、どうしたらいい?
髑髏の内臓を作れるほど私に幻覚の知識と才能があれば…っ

それに髑髏がいないと、…守護者がかけてしまったら、

手の施しようがなくて、泣きそうになっているとばんっという音を立ててドアが開かれる。



「恭弥…!」

「…落ち着いて、美瑠」



邪魔だよ、と恭弥はツナをどかすと髑髏の手を心臓の前にもってくる。
ツナは哲さんに連れられて外に出ていくと恭弥は「自分で内臓を作るんだ」と髑髏に幻覚を作るように促す。

そっか、髑髏自身が自分の内臓を作れば…!

私も手伝う、と言って髑髏の手を強く握りしめながら天秤の力をゆっくり注いでいく。
そうすれば幻覚を作ることができたのか、だんだん荒かった髑髏の息遣いが少しずつ穏やかになっていった。

…よかった…でも、今の髑髏は生きていることで精一杯…戦うなんて無理だろう。



「…沢田たちのところに行こう」

「うん…」



髑髏の手を静かに布団の中に入れて、私たちは会議室へと向かう。
中では5日後、日本支部に殴りこむか殴りこまないか、言い争っていた。
ラルは体調が優れず、髑髏も戦いに参加することはできない。

作戦中止を言い出した了平さんにツナは苦々しくも「やりましょう」と言い出した。



「敵のアジトに行けば過去に戻ることだけじゃなくって、骸の手がかりも何か掴めると思うんです。
それに、その、ノン・トゥリニセッテのこともわかるかもしれないし……
…でも、どっちもゆっくりしてると手遅れになっちゃう気がして」



…すごい…ツナは、ちゃんと考えている。

苦しい決断だったと思う。みんなの命がかかっているのだから。
でも、ちゃんと考えて、決断を下すことができた。

そしてその意見には一理あって、了平さんも「うむ」と同意していた。



「それに、やっぱりオレ…こんなとこに一秒でも長くいてほしくないんだ。
並盛の仲間はもちろんだし、クロームやラル・ミルチだって…こんなとこ、全然似合わないよ!」



ツナの思いに、…優しさにみんなの心が一つになったのがわかった。


―――そうだよね、これが、ツナ。私たちのボス。
誰が何と言おうと、この優しさが私たちを引っ張ってくれる。

よく言った!と了平さんが褒めると少しだけ恥ずかしくなったのか、ツナはしどろもどろになる。

そしてそのテレをごまかすかのようにハイパーモードになると、修行へと向かった。

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