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風紀財団に戻るとスーツ姿で顔を固くしている哲さんが待っていた。

その表情だけで分かる。戦いが始まったことを。

恭弥も感じ取ったのか、短く「罠にひっかかったの」と哲さんに問う。



「あと30分後です」

「ふぅん…意外と早かったね。…行こうか、美瑠」

「うん」

「哲、彼らにも連絡して」

「へい」



恭弥も私も黒いスーツに着替えて、少し離れたボンゴレの地下施設に向かう。
そこは、恭弥が髑髏のバッグの中に入っていた発信機を置いていた場所。
きっと敵はそこに向かって突入してくるはず。

少し離れた場所で見ていると施設の天井に穴をあけられて、施設内に突入してきた。
…うん、計画通り。今頃、ツナたちは敵のアジトに向けて出発したはず。

私たちの目的は敵の戦力を分散させること。囮になること。そして……



「弱いばかりに群をなし、咬み殺される袋の鼠」

「わ、罠だ!!」



ロールちゃん、そしてトンファーを構えた恭弥に勝てる人なんて誰もいない。

一気に攻撃を仕掛けて、素早くどんどん敵を圧倒していく。
もちろん私も一緒に背中を預けて敵を倒していった。

…数は多い。けど、一人一人の力は弱い。だからこそ、私たちの敵じゃない。
たぶん1時間もかからなかっただろう。

あっという間に制圧すると、潜入したツナたちが見つかるのを少しでも遅らせるために「電波障害が起こっているのでしばらく連絡が取れそうにない」という偽の報告をミルフィオーレに送る。



「これでしばらくは大丈夫でしょ」

「うん。…行こっか、恭弥」

「僕たちの目的を果たしに、ね」

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