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あれから二日……草壁さんから詳しい話を聞いて、ようやく事態を飲み込むことができた。
恭弥も一緒に聞いていたみたいで「ふぅん」と興味なさそうにうなずいていた。
10年後の恭弥は風紀財団っていう組織を立ち上げていたみたいで、主に匣の研究をしていると聞いた。
今日は恭弥と一緒に懐かしい並中の屋上でのんびり過ごしていた。
隣の屋上にもツナたちが来たみたいで、少しだけ賑やかな声が風に乗って聞こえてくる。
その声を聴いているとなんだかこっちまで元気が出てくる気がした。
恭弥に膝枕しながら、雲を眺めていると恭弥が不意にボンゴレ匣を取り出して、じっと見つめる。
10年後のツナたちが預けてくれたボンゴレ匣……
まだ開匣していないけど、一体どんな武器が入っているんだろう…?
「あいつらいい顔してんな。しばらくほっといても大丈夫そうだ」
「…!!」
突然響き渡った聞き覚えのある声に恭弥はすぐさま起き上がるとトンファーを構える。
私はその声が聞こえてきた方を嬉しそうに見上げて、まぶしさに目を細めた。
「まあ待て恭弥。そうあわてなくても、みっちり鍛えてやっから」
「ディーノ!」
「やだ」
「まてっつの!!」
ディーノの言葉を丸無視して、恭弥がディーノに襲い掛かり、突然戦闘開始。
よく見たらディーノは知っているディーノより大人っぽい。…もしかして、10年後のディーノ?
ガキン、カキン!!と打ち合っている恭弥とディーノを見ていると「久しぶりだな、お嬢!」とロマーリオさんも現れる。
見た目は少しだけ老けたけど、その笑顔が全く変わらなくて、嬉しくて駆け寄る。
「お久しぶりです、ロマーリオさん!」
「10年前のお嬢はこんなに小さかったか?」
「まだ中学生ですからね」
「そうか…まだ中学生か!そりゃあ小さいな!」
豪快に笑うロマーリオさんに思わず満面の笑みを浮かべる。
そんなほのぼのした雰囲気が伝わり、ちょっとうらやましかったのか、ロマーリオさんと私の間に一本のトンファーが突き刺さる。
あの坊主も相変わらずだな、と苦笑するロマーリオさんに私も苦笑で返す。
突き刺さったトンファーを抜いて、恭弥にパスすると再び二人の戦闘が激しくなる。
恭弥楽しそうだなぁ……としばらくその戦闘を眺めていると今度は草壁さんが現れる。
もちろん、ロマーリオさんと大親友の草壁さんは再会に大いに喜んでいた。
そうしばらく恭弥とディーノが戦っていたが、星空が見えてきたころに不意に恭弥がトンファーを下す。
「…眠い。帰る」
「おい、待てよ、恭弥!明日は並盛神社集合な!…って、もう行っちまったぜ。相変わらず可愛くねぇな」
「ディーノ!」
「お、美瑠!ずっと見てたのか!」
ディーノに会えたことが嬉しくて思わず勢いよく抱き着けば、ディーノは軽々と私の体を受け止めてくれる。
ふわりと香るディーノの匂いは、どこかお日様のようなにおいで、変わらない。
安心しきっているとよしよし、と頭を撫でられて、ふにゃり、と体から力が抜けた。
「会えてうれしいよ、ディーノ」
「オレもだ。また会えて嬉しいぜ」
また会えて、という言葉に少しだけ胸が痛くなる。
草壁さんの話によると、私はミルフィオーレにずっと捕まっていたらしい。
きっとディーノは私に一生会えない覚悟をしたのだろう……そんな気持ちが伝わってきた。
「お腹すいたな。食べに行くか!」
「うん!」
少しだけしんみりした空気を撃ち砕くかのように明るく笑うディーノに、私も笑い返す。
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