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――次の日。トレーニング室にみんなが集められる。

…あれ…?なんだか、気配が二つあるけど……ま、いいのかな?

今日から本格的に匣兵器の修業が始まるみたいで、ディーノが全体を仕切る家庭教師になった。
ちなみにリボーンはその上の役職“家庭教師の精”らしい。
妖精さんらしく、浮かびたいリボーンは体をワイヤーでつっていた。
かわいいーと見惚れているとディーノがリボーンに蹴られていたから、変わらないなぁとクスリ、と笑う。

どうやら髑髏もランボも修行するみたいで、…少しだけ心配になった。
こうして修行の内容を発表されていくが、ツナは一人、隼人はお兄さんとランボの指導、武はパスという内容。

髑髏はイーピンとビアンキに手伝ってもらうらしいからいいけれど…他のみんなは大丈夫なのだろうか。



「そして、美瑠」

「え、あ、はい!」

「お前も、開匣できるまでは一人だ」

「え…?」

「開匣、できないんだろ?」



ディーノにそうずばりと言われて、どきり、とする。

…図星、だった。恭弥の修業を見ながら、私も匣を開けようと修行していた。
けれど、リングに炎を灯して、炎を注入しても、…匣は開いてくれなかった。

何が足りないのだろう…炎圧が、足りないのだろうか。そう思って炎圧を上げる修行をしていたが、それも違うようだった。

一体、私に、何が足りないの…?



「誇り高いからな、美瑠の匣は。…がんばれよ」

「…うん」



少しだけ、心細かった。でも、それはみんな一緒。
不安が表に出てしまっていたようで、ディーノは元気づけるように私の頭をくしゃりとなでた。

それぞれ修行を開始するようで、みんながトレーニング室から出ていく。
私も出ていこうとしたけど、中にまだ残っている二つの気配が気になって仕方ない。
出ていくふりをしてその場に残ると、バイクの後ろから京子とハルが泥棒のような格好で出てきた。



「バッチリ聞いちゃいましたね!」

「ドキドキしたね!」

「二人ともどうしたの?」

「「きゃああーっ!」」



どうやら私がいることに気付かなかったようで、声をかければ二人して悲鳴をあげる。
わたわたする二人にふふ、と笑うと「美瑠ちゃん…!」とハルが私の名前を呼ぶ。



「二人ともどうして隠れていたの?」

「そ、それは…」

「知りたいんです!」



言いよどむ京子にかぶせるように、ハルは叫んだ。

ぐっと拳を握りしめて…すごく、真剣に。



「いつまでものけ者で…みんなは今の状況をわかっているなんて、ずるいです!」

「私たちもちゃんと知りたいの…!だから、」

「隠れて聞いてたんだね」



そう言うとこくり、と二人とも小さく頷いた。
…そっか…ヴァリアーが来たときも、相撲大会だと言って京子たちをごまかしていた。
そして、今も巻き込まれながら状況を説明していないのだろう。

それが、ハルたちにとって不満らしい。

それはそうだよね……もし、私がハルたちと同じ立場なら悔しいと思う。自分たちも一緒に戦っているのに、と。
でも、ツナたちの気持ちもわかる。二人にマフィアの世界なんて見せたくない。

血なまぐさい戦いなんて……私たちだけで十分だ。
どちらの気持ちも理解できるから、私は二人を黙って抱きしめた。



「私から言うことはできないよ。…でも、信じてほしいの。ツナを…そして、みんなを」

「美瑠ちゃん…」

「ごめんね、これしか言えなくて」



ふるふる、と二人が頭を振ったのが伝わってくる。
きっと二人はツナたちに説明を求めるだろう。信じているからこそ、知りたい、と。
それでいいと思う。二人にだって知る権利はあるんだから。

心の中だけで二人にエールを送る。

がんばれ。二人も…がんばって。私も、がんばるからね。

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