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並盛に帰ってきた私たちはすぐさま敵が追ってこれないように転送システムを破壊する。
でも、頑丈だったのか転送システムが一度消えて、再び戻ってきてしまった。
…おそらく、真6弔花を乗せて。
幸いなことに壊れる寸前だったからか着地に失敗して四方に散っていくのが見える。
「どっちみち、奴らは来たぞ」
「やばいよ、どうしよー!」
ツナが焦った声を上げた瞬間、何故か恭弥は走ってこの場を去ろうとする。
この状況で恭弥は一体どこにいくの?
草壁さんも同じように思ったのか「恭さん、どちらへ!」と声をかける。
恭弥はその声に当然のように振り向いて一言言った。
「一つ、並中の方に落ちた。見てくる」
「(この人あくまで学校が一番なのねー!)」
「(ふふ、恭弥らしい)」
美瑠、行くよと恭弥は学ランを翻したから「はい!」と笑って返事をし、恭弥の背中を追いかける。
もちろん草壁さんも一緒についてきて、心配なのかディーノもついてくることに。
ディーノがいなくなるのが不安なのかツナは少しだけうろたえていたけど、ディーノは的確な指示を飛ばした。
「分散している方が倒しやすいし、美瑠とユニは一緒にいるべきじゃない。
二人でいると捕まる可能性が高くなるからな。
お前はまずユニを安全なアジトへ連れていけ!
…あの感じじゃ必ず白蘭もくる。ここをうまく凌げば奴を倒すチャンスもきっとあるぜ」
「え!」
「だがまずはユニの安全の確保だ!美瑠は自分で身を守れるし、俺らが守るから心配するな!」
と、かっこよく言い放ったのはいいものの、部下のいないディーノはへなちょこ。
思いっきり神社の階段から転げ落ちていって、あまりにもしまらない。
ディーノらしくて思わず大爆笑していれば、前からロマーリオさんがやってくる。
丁度良かった、と安心しつつ、ディーノたちと一緒に恭弥を追いかけた。
10年後も変わらない並中に入ると中庭にいたのはデイジーという真6弔花の人。
私を見つけた瞬間、デイジーは私を捕まえようと手を伸ばしたが、ディーノの鞭と恭弥のトンファーがそれを阻止する。
それでもなお私を捕まえようとするデイジーにディーノの鞭が飛ぶ。
真6弔花という肩書を持っている人だけど、ディーノに歯が立たない。
「勝ち目がねーのはわかったろ?降参しとくか?」
「ぼっ…僕チンは美瑠様を連れて帰りたいだけなんだ。美瑠様を渡しなよ!」
デイジーは匣に炎を注入して、晴属性のサイをぶつけてくる。
それに対してディーノも匣を開匣して天馬がサイを蹴り飛ばし、ロールちゃんが固まったサイを粉々に破壊する。
たぶんかなりの自信があるのだろう。サイが破壊されてデイジーは呆然としていた。
「僕のエモノに手を出さないでくれる?」
「オレに向かってきたんだからしょうがねぇだろ?正当防衛だ」
楽勝だ、と笑うロマーリオさんに草壁さんが当然ですと得意げに笑う。
さすが恭弥と10年後のディーノ。
あっけなく戦闘が終わったが、デイジーは「手加減していたけどいい加減怒るよ」とふらふらする。
手加減していた。…それは、本当なのだろうか。
確かに真6弔花にしてはすごく簡単に倒すことができた気がする。
「匣もうないし、僕チンが一番にこの力を使うことになっちゃったけど…
お前たちに修羅開匣を見せるのはこれが最初で最後になると思うよ」
「修羅開匣…?」
「白蘭さまは言うよ。僕ら真6弔花は――人間を超えた存在だって!」
デイジーはいきなりシャツを破ると、そこに現れたのは匣が埋め込まれた胸。
もちろんその匣にはミルフィオーレの紋章が刻まれている。
もしかして、匣と自分自身が繋がっている…?
つまり、自分自身が匣兵器になっている、ということなんじゃ…!
デイジーは「美瑠様を渡しなよ」と再び呟いて、大量の晴の炎を体に埋め込まれた匣に注入する。
あたり一面に煙がまき、その風圧に思わず片目をつぶって耐える。
そしてその煙に見える、一つの晴の炎。
「もう一度言うよ。美瑠さまを渡せ」
現れたのは手や足にうろこを付け、晴の炎の羽をもったデイジー。
その姿は確かに人間のものから離れていて、…匣兵器のように動物を模しているようだった。
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