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ディーノから平川不動産で起きた出来事を聞きながら(恭弥は聞いているようで聞いていない)今日の戦いのことを考える。
今日ですべてが終わる。――白蘭を倒せば、平和な過去の世界に戻れる。
そのことに喜びを感じないわけじゃない。この世界は大切な人を奪われてしまうことが日常的にある、残酷な世界なのだから。
でも、何か嫌な予感がするのだ。
誰かが…大切な誰かが、また自分の目の前でいなくなるような気がして……
何も起きなければいい。厳しい戦いになるとは思うが、誰も死なないでほしい。
不安が顔に出ていたのだろうか。…恭弥が私の手をそっと握ってくれる。
何も言わないけれど、恭弥の表情はいつもと変わらず…とても自信に満ちた表情だった。
“大丈夫だよ”
そう案に言われているようで、知らないうちに入っていた力が抜けていく。
…そうだよね、恭弥も、ツナも、みんないる。
みんなが力を合わせれば誰も死なせずに守ることができるはず。
“ありがとう”
口に出さず、恭弥の手をきゅっと握り返してそう心の中で呟く。
「行こう」
「うん」
ぎゅっともう一度手を握り締めるとすぐに手を離して走り出す。
この戦いで終わる。
――絶対に、誰も死なせない。
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