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「まずいぞ、美瑠の炎は命を削って灯している!あんなに巨大な炎を灯し続けたら、」
「…っ!!」
ディーノの言葉に恭弥が焦ったように走り出し、私の周りにある炎を崩そうとトンファーを振るうけど、傷一つつかない。
美瑠!と何度も私の名前を呼びながらトンファーをぶつける恭弥に返事がしたいのに、体は全く言うことを聞いてくれない。
恭弥、危ないよ!もう、これ以上は無理をしないで…!
そう叫びたいのに、私の体は白蘭とツナに向かって無言で歩くだけ。
最悪なことに、向こうからは保護していたはずのユニちゃんが同じ炎に包まれて飛んできていた。
みんなは一生懸命ユニちゃんの炎の結界がツナと白蘭の結界に合流させないように阻止しようとしたけど、まったく歯が立たない。
「ようこそ、ユニちゃん、美瑠ちゃん♪」
「ユニ…美瑠…来ちゃ、ダメだ…!」
「これで誰にも邪魔されない4人だけの舞台ができたね。…といっても綱吉クンにはもう用がないからすぐに僕とユニちゃん、美瑠ちゃんだけの舞台になるけどね」
その言葉通り、ツナの首を絞める力を強める白蘭に慌ててユニちゃんが「やめて!」と止める。
でも、白蘭は「今さらやめてなんてどの口が言ってるのかな?」と冷たい表情を浮かべた。
自分を守らせるためにボンゴレの連中に命をかけさせたのはユニちゃんじゃないか。
相手は絶対に勝ち目のない僕だと最初からわかってたはずだよ?
何のあてもなく逃げまくって、やみくもに犠牲者を増やすだけの逃走劇を仕組んどいて、自分勝手にもほどがあるよ、と。
結局は自分のために多くの人間が動く姿を見てみたかったんじゃないか、と白蘭は言葉を重ねていく。
そんな時、ユニちゃんのマントの中がかすかに光を灯し始めた。
まだダメ、と小さな声で呟くユニちゃんに「まだ?」と白蘭の表情が少しだけ変わる。
もぞもぞと動くマントの中。それは、アルコバレーノのおしゃぶりたち。
しかも普通のおしゃぶりではない。おしゃぶりの表面から何かがそれぞれ飛び出していた。
その様子を見て、リボーンが「アルコバレーノが復活する」と言い出す。
大空のアルコバレーノの力をもってすれば仮死状態のアルコバレーノを生き返らせることができる。
まさかおしゃぶりから復活するとは思っていなかったようだった。
だからこそ、ユニちゃんはアルコバレーノの復活のための時間をつくるためにツナに自分と仲間のおしゃぶりを守ってほしいと懇願したのだ。
アルコバレーノが復活すれば、この世界の秩序が回復する。そして、彼らはとても強い。
完全なアルコバレーノとツナと組めば白蘭を倒せるかもしれない……!
でも、そんな希望も崩される。おしゃぶりの状態を見る限り、復活までにはまだまだ時間が必要だからだ。
白蘭に指摘されて、ユニちゃんは言葉に詰まると、白蘭は「図星だね」と笑ってツナの首を締め上げた。
どさり、とツナの体が地に沈み、ツナから死ぬ気の炎が消えてしまう。
――ツナ…?まさか、死んじゃった、の…?
い、や……いや、いやいやいや…!!
「いや―――っ!!!!」
パキン!!と音を立てて鎖が外れたような音が自分の中でして、意識が外へと戻っていく。
自由に動けるようになった体は真っ先にツナに駆け寄っていた。
ツナ、と何度も声をかけたけど、ツナは動くことはない。
震える手でツナの首筋に手をあてて、その鼓動を確認する。
…トクン、と弱弱しい鼓動が伝わってきて、少しだけ力が抜けていった。
よかった…!!生きてる…!!
「…驚きだよ。まさか、自分で結界を解くなんて…」
「白蘭…っ!」
「ま、いいや。この頑丈な結界の中にはもう誰も来やしないよ。これで美瑠ちゃんとユニちゃんは僕の物♪」
「…っ、私は、誰のものでもない…!」
「――やっぱり、何年たっても美瑠ちゃんだね。10年後の君も、同じことを僕に言った」
白蘭がそっと目を伏せて悲しみの色を落とす。
そんな白蘭に私は何故かそれ以上怒りをもつことができなかった。
ツナを、みんなを苦しめる人。私たちの敵。…それなのに、なんで、こんな顔をするの…?
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