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何度も「美瑠ちゃん」と呼びかけたけど、美瑠ちゃんは黙って一つしかない窓の外…いや、空を見つめていた。
君は今何を思っているの?外にいる雲雀クン?それとも、君にとって大空である、綱吉クン?
…誰であろうと、僕でないのなら、気に入らない。
美瑠ちゃんの腕を掴んで、美瑠ちゃんをベッドへと縫い付ける。
美瑠ちゃんは一瞬だけ身を固くしたけど、静かに僕へとまっすぐな視線を向けた。
(あぁ、やっと、僕を見てくれた)
「私を抱くのですか?」
「…それもいいかもね。でも、君がやっと僕を見てくれたからこれ以上進める気もないかな」
「……、…あなたは…何を、望んでいるの?
人質ならこんなに私に関わらなくてもいい。情報源として扱いたいなら拷問でもなんでもして、聞き出せばいい。
ただの暇つぶしなら…嬲り殺すなり、抱くなり、何かしているはず。
でも、あなたは何もしない。ただ私の部屋に来て、食事を置いて、私に話しかけて…一体、私に何を望んでいるの?」
きっと、捕まってからずっと疑問に思っていたのだろう。
美瑠ちゃんはよどみなく、僕をまっすぐと射抜きながら僕に質問を投げかける。
その眼には僕に憎しみも怒りも負の感情を感じない。…ただ、純粋に知りたがっているようだった。
――こんなことは、初めてだった。
今までの美瑠ちゃんは僕に憎しみや怒り、悲しみの感情しか向けてくれなかった。
…それだけでもいい。僕にいい感情を向けなくてもいい。ただ、僕を見てほしかった。
嬉しくて、僕は美瑠ちゃんの上から引いて、美瑠ちゃんの体を起こすために美瑠ちゃんに手を差し伸べる。
美瑠ちゃんはその手をじっと見つめたけど、僕の手を取ることなく自分で起き上がる。
そんな美瑠ちゃんに小さく苦笑しつつ、僕は近くにあった椅子にかたりと音を立てて座った。
「何も望んでないよ。…しいて言えば、僕と仲良くなってほしいかな」
「……なら、私をここから出して」
「それはできないなー」
「……」
小さく息をついて、美瑠ちゃんは再び僕から目線を外し、窓へと視線を向けていた。
…あぁ、また、ふりだし、か。
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