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崩れおちるユニちゃんに体が心配になって「ユニちゃん、」と声をかけながら肩にそっと触れると震えが伝わってくる。

その瞬間、伝わってくるユニちゃんの恐怖心。


―――そっか…ユニちゃんだって、子供なんだ。

死ぬのが怖くないはずない。
どんなに崇高な使命をもったアルコバレーノの姫であろうとずっと覚悟していたことであろうと、ユニちゃんだって人間なんだから。



「いいんだ、ユニ!!何か他の方法を考えよう!」

「そうよ、ユニちゃん!きっと…きっと、あるはずなの!一緒に考えれば!」

「…すみません、大丈夫。他の方法はないんです。みなさん…ありがとう」



ユニちゃんは今までで一番大きな炎を燃えあげる。

とうとう、最後の炎が灯される。ユニちゃんの、命がけの炎が。



「よし!いまです!」



外で聞こえてきたバジルの声。

見上げるとバジルの雨イルカにすべての匣兵器の炎が集まっていた。

そうか…イルカの匣専用の能力…!匣コンビネーションシステム…!
これだけの炎の量があればきっとこの固い結界も壊せるはず!

破片が飛んできてもユニちゃんを守れるように月の炎でシールドを作る。
突進してくるバジル。それなのに一時的な小さな傷しか与えることしかできない。
私も外から銃で破壊しようか、と銃に炎をセットしようとした瞬間「こんだけありゃあ充分だぜ」という言葉とともにγさんが入ってきた。



「よお、姫」

「γ」

「やっと会えたのにまたすぐいっちまうなんて、水くさいぜ」

「―――…」

「オレの炎も使ってくんねーか?」



そう言ってγさんはユニちゃんの体を優しく抱き寄せる。
γさんもユニちゃんと同じような炎に包まれて、とても優しい色になる。

…でも、その優しい色は……とても残酷だと思った。

ユニちゃんと同じ炎を背負うということは、…運命と共にするということ。

γさんもユニちゃんと一緒に、死ぬ気なんだ……



「あんたを一人にはさせない」



そう優しく微笑むγさんにユニちゃんは涙を浮かべる。
γさんの優しい瞳に、私は二人の思いを初めて知った。…γは、ユニちゃんのことをとても大切に思っていたんだ……

だって、恭弥が私に向けてくれる目に、とても似ていたから。



「いつか耳打ちしてくれたの覚えてるか?あれの返事まだだったよな」



ユニちゃんの耳にγさんはそっと唇を寄せて、何かを囁く。
それはとても小さな声で私たちには聞こえないけど、…きっとそれは、ユニちゃんだけの宝物。

その証拠にユニちゃんの目からは大粒の涙が零れ落ちていた。

泣いているユニちゃんにγさんはふわりと笑う。



「なんだよ。旅立つって時にシケた面だな。
あんたの母さんはそんなこと教えなかったはずだぜ」



ユニちゃんははっとしたような表情を浮かべて、…とても…とても、幸せそうな笑顔を浮かべた。

その微笑みは世界中の誰よりも幸せで…見ているこちらまで、涙が出るほど、綺麗で、儚くて、


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