3
ふわりとまるで雪のように消えてしまった二人。
その場に残ったのはユニちゃんとγさんが命を懸けて炎を注入したおしゃぶりと、二人の衣服だけ。
「γ!!ユニ―――!!!」
ツナが二人がいた場所へと降りたち、二人がいなくなってしまったことを呆然と見つめる。
でも、おしゃぶりには変化がなく、アルコバレーノは復活していない。
失敗か、と一瞬だけ背筋が凍ったが、リボーンが「まだ時間がかかる」という言葉に少しだけ安心する。
炎はちゃんと注入されたのなら、促進することはできるはず。
ツナからおしゃぶりを大切に受け取ると私は月の炎を灯し、おしゃぶりに注入し始める。
「美瑠、やめるんだ!!君まで…っ」
「大丈夫だよ、恭弥。私は死なない。ユニちゃんが、ダメだって言ってたから。
私はユニちゃんが注入した炎をもっと増やしてあげるだけ。…大丈夫だから」
泣きながらも、安心してほしくて優しく笑いかけると恭弥はぎゅっと拳を握りしめる。
無茶はしないで、と心配そうで、とても苦しそうに絞り出した声にごめんね、と謝って炎に集中する。
無理をしない保証はできない。…心配かけて、本当にごめんね。
そして、ゆらり、とゆれる影。
え、と見上げれば「なにしてくれてんのさ?」と低く唸る白蘭が傍に立っていた。
「やっと見つけたパズルの最後の一ピースが死んじゃったよ…すべておじゃんじゃないか……
73を覚醒させ、時空を超えた覇者になる僕の夢は…君たちのくだらないお友達ごっこのせいで散ったんだ。
この意味が……わかっているのか!!!」
白蘭の怒号にツナの炎が圧倒的な威圧感を放つ。
怖いくらい強力で、ビリビリと肌が痛いくらいに怒りと悲しみが伝わってきた。
「誰がユニを殺したと思っているんだ。お前がこんな世界にしたから…ユニは…死んだんだ!!
おれはお前を許さない!!!白蘭!!!」
「んー?許さない?ほほーう、ぷくく!…ハハッ!ナンセンスだよ!君という人間はなんて茶番なんだ!!」
白蘭は笑いながらとても冷酷なことを叫ぶ。
ユニちゃんは装置だと。全知全能フルオプションつきの神になるためのスーパーアイテムだと。
ユニちゃんを一人の女の子として扱い、尊ぶことは、ただの陶酔だと。
寄せ集めの偽善より個人のドス黒い欲望や執着の方が強い。世界はそうできていると。
…なんて寂しい人なのだろう。
世界をそんな風にしか見ることができないなんて。
世界中のみんなが利己的で、偽善者なわけじゃない。心から優しくて、自己犠牲を払える人だっている。
…ユニちゃんや、γさんのように……
白蘭の足から体を固定するための根のようなものが現れる。
おそらく、大きな一撃を放つつもりなんだ…!
それに対してツナもX BURNERで迎え撃つようで、精一杯の力をこめる。
「まったく無意味なことをしてくれた!!あのおしゃぶり付きの人形は僕に最高のオモチャを与えてくれたのに!!」
「それ以上ユニを侮辱するな!!白蘭、お前だけは!!」
「…っ(いけない…!!)」
二人の力があまりにも巨大すぎて、あの強固な結界もバリバリと音を立てて崩れていく。
私は月の力を最大限に引き出し、自分の周りにシールドを張り上げるとぎゅっとおしゃぶりを抱きしめる。
ユニちゃんとγさんが命をかけて炎を注入したおしゃぶりだけは、絶対に守らないと…!!
- 389 -
*前次#
ページ:
back
ALICE+