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「消えろ!!」
「くらえ!!」
二人の力が真正面にぶつかり合う。その力は互角かと思われたが、ツナの澄んだ炎が白蘭を圧倒した。
白蘭が苦痛の叫び声をあげながらツナの澄んだ炎に包まれる。
吹き飛ばされていく白蘭。…そんな白蘭が一瞬だけ穏やかな笑みを浮かべて、私を見つめたような気がした。
「…ただ、好きになってほしかったんだ…――美瑠チャン…」
「―――!びゃ、」
白蘭、と名前を呼ぶ暇もなく、白蘭はツナの炎に吹き飛ばされてしまった。
その場に残るのは、大空のマーレリングだけ。
白蘭……あなたは、とても…寂しかったの…?愛してほしかった、の…?
本当はただ、それだけを望んでいたんじゃないのかな……
世界の覇者でも、神でもない。ただ、誰かに愛してほしくて……自分を見てほしくて……
十年後の私は、あなたにどんな言葉をかけたの?
十年後の私も、あなたの寂しさと飢えに気付くことはできていたのかな…?
…もっと、ちゃんと、話してみたかった。冷たさに拒絶することなく、きちんと彼を見て……
そう思うと少しだけ胸が痛んだ。
勝ったんだ、とみんなが喜びでツナに駆け寄っていく。
ツナもハイパーモードが解けて、力尽きたように崩れ落ちていく体を隼人と武が支えてくれる。
「よくやったな、ツナ」
「…で…でも…γと…ユニが…」
ユニちゃんとγさんの衣服の前に野猿くんと太猿さんが泣き崩れる。
大切なボスと、お兄さんのように慕っていた上司がいなくなって、悲しまない人はいない。
泣きじゃくる二人の泣き声を聞きながら、なくしたものの大きさが胸に響く。
「γとユニだけじゃない…この戦いは、多くの人が傷つきすぎたよ……」
ツナの苦しい声を遮るかのように聞こえてくる、誰かが倒れる声。
ヴァリアーのみんなが連れてきたのは、傷だらけの桔梗だった。
殺そうとするヴァリアーのみんなの言葉にツナは「これ以上傷つける必要はない」と言うが「殺ししかできぬ怪物だ」とレヴィが反論する。
…でも、本当は違う。
真6弔花のみんなは、パラレルワールドであれば、天下にいる人間だった。
でも、この世界では不運にも夢をかなえることができなかった人たち……そんな怒りを糧にして真6弔花になったのだと桔梗は言った。
不運でなれなかった、なんて言い訳をあのザンザスが許すはずがなく、ザンザスは容赦なく桔梗の頭を吹き飛ばす。
ザンザス!!と窘めるようにツナは名前を呼んだけど「るせぇ」とそっぽを向いてしまう。
こんなことはいつものことなのか、手慣れたようにルッスーリアが「はいはーい、命は繋ぐわよー」と桔梗を引っ張っていった。
「この戦いでたくさんの人が傷ついて…山本のお父さんも、他のパラレルワールドでも…多くの人が死んじゃって……
勝ったは勝ったけど……もうこんなめちゃくちゃで……、本当に…、…勝った意味なんて、あったのかな……」
「ツナ…」
「大ありに決まってんだろ、コラ!!!」
「あっ…!!」
急速に自分の力が止まる感覚が包み込み、おしゃぶりがとてつもない熱を帯びる。
その熱さに耐えられなくて、おしゃぶりを落とした瞬間に聞こえてきたのは、聞き間違えるはずのない、声。
パァァッとまばゆいほどの光を発して、おしゃぶりから現れる、最強の赤ん坊たち。
「みんな…!!」
「てめーら、おせーぞ」
「なにをリボーン!!…センパイ…」
「まーまて、スカル。コラ!事情はすべてわかってるぜ。おしゃぶり状態のおれ達にユニが炎を通して教えてくれたからな」
「ユニが?」
「ええ。ユニは白蘭が倒された場合、世界にどのような影響が起こるのかも我々に教えてくれました」
イーピンちゃんに師匠と呼ばれた、恭弥そっくりの赤ちゃん。
アルコバレーノのみんなが言うには、白蘭が倒された場合、マーレリングの力も無効化される。
だからパラレルワールドであっても白蘭が起こした出来事はすべて、抹消されることになる。
つまり、白蘭がした悪事は昔のこともきれいさっぱり跡形もなくなくなるそうだ。
殺されたみんなが、生き返ってくれる。それはとてもうれしいニュースだった。
ありえるのか、と正ちゃんは戸惑っていたけれど、とても大人っぽい赤ちゃんが奇跡だというのが妥当だという。
しかも、マーレリングをこれ以上不正に扱われないように、ユニちゃんは奥義をみんなに託したそうだ。
ユニちゃん、本当にありがとう……っ
これで、平和な過去に帰れるんだ…!!
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