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「集団転校生?」
「うん。受け入れようと思ってね」
並盛中学校、応接室。
私は恭弥と一緒に先生から受け取った書類に目を通していた。
本来ならイタリアに戻るべきだったのだが、未来からの戦いから帰ってきて9代目から並盛に残るように言われて並中に復学することになったのだ。
恭弥の傍にいられることになったのは嬉しいのだが、相変わらず風紀のお仕事が忙しい。
今回、先生から渡されたのは「集団転校生の受け入れについて」と書いている書類。
集団転校生とは、地震で学校に通うことが不安な子供たちが安心して学校に通えるように地震が少ない地域に転校してくることだ。
地震といえば私たちが未来から帰ってくるときに起こしてしまったもの。
少しだけ責任を感じるなぁ、なんて考えていれば恭弥が許可のサインを書類に書いていた。
決済の箱に書類が入るのを見て、一息つこうと給湯室に入る。
「美瑠」
「ん?どうしたの?」
「これ」
「…!ナミモリーヌのミルフィーユ!でも、どうして…?」
「…もらった」
恭弥が差し出してきたのは大人気、ナミモリーヌのミルフィーユ。
恭弥はもらった、なんて言ったけど、恭弥は先ほどまで見回りに出ていたことは知っている。
恭弥が見回りの間、私は風紀の書類の処理していて、…久しぶりのお仕事に手間取っていることに気付いていたはず。
きっと恭弥のことだから私を労わろうと買ってきてくれたのだろう。…恥ずかしくて言えないだけで。
恭弥の優しさにじんわりと心の真ん中が温かくなって、思わずふふ、と笑みを浮かべる。
「恭弥、ありがとう。すごく…すごくうれしい」
「…うん。お茶、よろしくね」
「はい。とびっきり愛情込めて淹れるね」
恭弥は「何言ってるの」と言いながら穏やかに微笑んでくれる。
ほっこりしながら丁寧に紅茶を淹れて、ケーキをお皿に乗せて、机にもっていく。
恭弥は準備ができたことを見ると読んでいた書類を置いて、ソファーに座った。
「集団転校生はいつから受け入れるの?」
「明日からだよ」
「急なんだね?」
「それだけ切羽詰まってるってことだろうね」
「そっか…何人来るの?」
「7人だって」
「7人…友達になれるといいな」
どんな人たちがくるのか、とても楽しみ。
ツナたちもきっと楽しみにしているだろうなぁ……
そんなことを考えながらミルフィーユにフォークをいれる。
ぱくり、と一口食べれば広がるサクサク感ととろけるような甘さ。
「…っ、恭弥、すごくおいしい!!」
「…そう。よかった」
「本当においしいーっ…!!」
やっぱりこの味はイタリアでは絶対に食べられない。
ナミモリーヌのミルフィーユは最高だ。甘さがしみわたって、なんだか元気が出てきた。
ぱくぱくと食べていく私に小さく笑って、恭弥は静かに紅茶を飲む。
本当においしい、と感動する私に「また買ってくるよ」と言ってくれる恭弥に「ありがとう!」と伝えて、私は再びミルフィーユを食べ始めたのだった。
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