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「ありがとう、恭弥」
「ううん。美瑠はここで見てて。絶対僕を応援してね?」
「(あれ?僕を、を強調された…!?)う、うん」
私A組なんだけどな、と苦笑していたけれど、僕を応援してくれるのは間違いなくて。
沢田綱吉を応援するのは少し面白くなかったけど、嬉しかったのも事実。
僕はニッと口の角を上げて美瑠の頭をもう一撫でしてから立ち上がる。
草食動物達は誰が総大将をやるか揉めていて、騒がしい。
全く……代表一人も決められないの?
まぁ…決めても僕がそいつを咬み殺して総大将になるだけだけどね。
「僕がやるよ」
「ヒバリさん!」
やっと僕の存在に気づいたのかザッと草食動物達が道をあけていく。
開かれた視界の先には沢田綱吉とその回りにいる奴らがいた。
でも……赤ん坊は、いないみたいだね。
なら、君を引きずり出すには彼を危険な状態にするしかないのかな?
恐怖で顔を引きつらせた奴の顔を踏み台にして棒倒しの棒に登る。
僕の体重で一瞬傾いたけど、僕を落とすまいとすぐに支えられた。
頂上に座ると沢田綱吉と一瞬だけ目が合う。
最初は驚いたような表情だったけど、すぐにあわあわと慌て出す。
美瑠がこいつのことを心配する理由がやっぱりわからないな……
「向こうの総大将とあいまみえれば赤ん坊に会えるかもしれないからね」
倒さないでね、と一言かければはい!という大きな返事が返ってくる。
まったく…一々そんなに怯えられると鬱陶しいな。
まぁ、草食動物達は勝手に怯えていればいいよ。
僕の興味は彼が強くなったり弱くなったりする理由だけだ。
あと、美瑠に心配されるほどの男なのかってことも、ね。
美瑠の方をちらり、と見てみれば美瑠は心配そうにこちらを見つめていた。
そんなに不安そうな顔しないでよ……
大丈夫、美瑠が見ている限り彼を咬み殺したりしないよ。
“大丈夫だから、笑って”
そう口パクで伝えると美瑠に伝わったみたいでうん、と小さく微笑んでくれた。
『それでは棒倒しを開始します。位置についてください!』
アナウンスと共に一斉に草食動物達が位置につく。
さすが二つの組が合同になっただけあってA組とはかなり人数が違った。
これって最初っから決着はついてるようなものだね……
つまらないな…でも、そんな試合を彼はどこまで楽しませてくれるかな?
ニッと狩りをする前の笑みを浮かべて僕は始まりの銃声を聞いた……
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