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その日はツナが十代目になるのか決める日だった。

学校であったツナは「もう答えは決めてる」と意思の強い瞳で断言していた。
ツナの目を見て、思ったんだ。

きっとツナは―――大切な人たちを守るために、ボンゴレボスの座を降りると。

しょうがないボスだと苦笑しつつも、ツナが決めたことなのだから私は何も口出しすることはない。


今日も今日とて風紀委員のお仕事を終わらせて学校を出ようとしたのだけれど、妙に野球部の部室の方が騒がしい。
何かあったのだろうか、と足を進めているとなんだか嫌な予感が私の体を駆け抜ける。

…例えばゴキブリが出た、とか、そういう笑える話ならいいのだ。
でも…そんな簡単なこととは思えないざわざわとした嫌な予感。

その嫌な予感からだんだん歩いていたスピードから全速力で走っていく。

「山本!!山本!!」と何度も武の名前を呼ぶお兄さんの必死な声。


バンッと勢いよく部室のドアを開ければ―――そこには、血まみれになった、武の姿が。



「た…けし…?」

「美瑠!!山本がっ…止血はしているが、出血が、」

「武…っ武っ…!!!」



止血をしている場所を押さえて、必死に晴れの炎を注入していく。
月の波動はどの属性にもなる特性を持っているが…本物の晴れの波動に比べると弱い。

それでもいい。自分にできることがあれば何でもしたかった。

救急車が到着し、武の手を必死に握りしめながら一緒に病院へ向かう。

どうしよう…武が、もし、もし、いなくなるようなことがあったら、私…っ

怖くてしかたなくて、ぎゅうっと手を握りしめながら晴れの炎を武に流し続ける。
美瑠、とお兄さんが心配そうな声をかけてくれるがそれに「大丈夫」と言えるほど余裕がなかった。

武はそのまま手術室に運ばれて、中の様子はわからない。

真っ赤に染まっている手を見つめながら、必死に武の無事だけを祈る。
隼人や髑髏が来て、お兄さんが事情を説明し、他にもシモンファミリーの人たちも入ってくる。

隼人が連絡してくれて、ツナも走って駆け付けてくれた。
武の容態がショックだったようで、ツナはふらふらとその場に座り込んでいた。
どうやら武は一人になったところを狙われたようで、一緒にいたはずの薫さんが帰ったあとに襲われたそうだ。



「ボンゴレ10代目の守護者を倒すほどの強者となると、ギーグファミリーを倒した犯人と同一と考えられますね」

「アーデルハイトの言う通りだ。だとすれば結局また犯人はわからずじまいか…」

「いいや。犯人を見つけることは可能だぞ」

「…!!リボーンさん!!」



現れたのは小さな赤ん坊でありながら最強の殺し屋、リボーン。
リボーンの言葉に私はゆっくりと顔をあげる。

武を襲った犯人を見つけることができる……その言葉に反応して。



「オレは今山本が襲われた現場の部室へ行って犯人の手がかりを探してきたんだ」

「あったんスか?」

「あった」

「―――…」



リボーンの断言に妙な緊張感がその場を支配する。

犯人の手がかりがあった…それがあれば、きっと犯人を見つけることができる。


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