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「ただし、すぐに犯人がわかるわけではねぇし、ボンゴレの機密に関わるんでな。
わりーがシモンは席をはずしてくれねーか」

「…我々も教えてもらった方が協力しやすいが」

「もちろん協力が必要ならしてもらおうと思ってる。すまねーがここははずしてくれ。
気を付けて行動しろよ。お前たちが狙われる可能性もある」

「……」

「わかりました」



シモンのみんなは静かにその場から退出していく。
ボンゴレだけ残すということは、裏切りの可能性を危惧しているのだろう。
シモンファミリーが裏切っていることは万に一つもないかもしれないが、念には念を、ということだ。

ボンゴレのみんなだけになるのを確認すると「…で」と隼人が口を開く。



「リボーンさん、どんな手がかりがあったんスか?」

「山本は意識を失う間際に血でメッセージを残してたんだ」

「…っ」



血でメッセージ、という言葉にツナの肩が大きく揺れる。
血でメッセージが書けるほど、武が出血していたということ。

あの惨状を見ていなくても、ツナにだって想像はできたはずだ。

大部分は消されてしまっていたらしい。恐らく犯人の核心をつく部分だったのだろう。
でも、その横に小さくひらがなで「でりとと」と書かれていた。



「でりとと…?」

「…っ、でりととって、まさか…!」

「あぁ。美瑠、お前が思っている通りだ。デリトトをローマ字にしてみると『delitto』となる。
これはイタリア語で「罪」という単語だ」

「罪…?」

「ここからは一部のボンゴレ幹部しか知らない最高機密だ。
“罪”というのはボンゴレのボスが継承式で代々受け継がれる小瓶の名称だ」



“罪”とはプリーモが忘れてはならない戦いの記憶を後世に残すためにボンゴレリングとともに自分の後継者に継承させたボンゴレボスの証だ。
伝承では小瓶にその忘れてはならない戦いで流された血が封じられていると言われている。
武がこの言葉を残したということは恐らく犯人は“罪”に関係している。
そして罪が目的ならば罪が表に出る…つまり第三者の目にふれるのは継承式の時だけだ。

犯人は必ず継承式に現れる。


――ただし、継承式が行われれば、の話だが。

リボーンの言葉にみんなが疑問を抱く。行われることは決定事項ではないのか、と。



「ツナはボンゴレのボスを継がないと決めた。継承式は中止だ」

「…!!」



リボーンの衝撃的な告白にみんなに動揺が走る。
ツナにみんなの視線が向けられるが、ツナはピクリとも動くことはない。

ツナが十代目にならないと決断したのは今日。みんなが知らなくて当然だ。

みんなは困惑している中、ツナが静かに「オレ…」と話し出し、みんなの視線がツナに向かう。



「9代目に継承式を開いてもらう」

「…っ!!」

「犯人はきっとまたオレの友達を…仲間を襲ってくる。
それだけは許さない!山本をあんな目にあわせた奴を…絶対に捕まえるんだ!!


オレは継承式に行く!!」


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