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「美瑠ちゃん、なんで、ツナ君をかばうの?」
「大切な友達であり…ボスだからだよ。あなたと同じ」
「…っ」
「私も、仲間を…みんなを守りたい。もちろん、炎真君のことも。だから、」
「黙れッ!!」
「やめろ!!」
炎真君の手に炎が灯った瞬間、また体が大きな力に引き寄せられて…みんなとぶつかり合う。
その衝撃は大きくて、頭の中がぐわんぐわんするようだった。
立ち上がりたくても、痛みが体を支配して中々立ち上がることができない。
みんな!!とツナが叫んだけど、私はなんとか体を起こすことしかできなかった。
しかし、それもすぐに炎真君の力によって押さえつけられて、胸の圧迫感に苦しむことしかできなかった。
すごい圧力…っ!!まるで、自分たちの上に大きな石が乗っているみたい…!!
苦しい、と顔をゆがめた瞬間、ボンゴレリングが音を立てて軋み始める。
そんな…!!ボンゴレリングにひびがっ…!!
「みんな!!…っやめろ!!」
ツナと炎真君の炎がお互いに勢いよくぶつかり合う。
その勢いはとても目を開けていられなくて、ぎゅっと目をつぶる。
なぜだ、と問いかけるツナに炎真君は信じかけていたことを打ち明ける。
それなのに、と言葉が切られて、何かツナがしたのだろうか、と考えを巡らせる。
ツナが炎真君を裏切るようなことをするようには思えない……
一体、どこで、行違ってしまったのだろう……
吹き飛ばされたツナの体。…完全にそれはパワー負けしていることを意味していた。
それでも炎真君の力はまだ未完成。
シモンリングと初代シモンの血は7日ほどで完全になじむ。
つまり、今の能力は完全なる覚醒状態の1/7にすぎないのだ。
こんなにも、ツナがパワー負けしてしまうほどの力なのに、これで1/7の力だなんて……
ツナは力を出そうとするけれど、炎真君の力に強く押されて手も出せない。
「帰ろう、アーデルハイト。簡単に殺しちゃいそうだよ。
一瞬で殺してしまったらシモンが背負わされたのと同じ苦しみを味わわせられない」
「そうだな、息の根を止めることなどいつでもできる。奴らに味わわされるべきは生き地獄」
「クロームちゃんも連れていくよ。デートする約束してるからね〜ん♪」
「彼方美瑠も連れていきましょう。彼女の力は最後に必要だわ」
「わ、たし…?」
「クローム!!美瑠!!」
「ツナ君は自分の心配をした方がいいよ」
炎真君が力をさらに強めて、ツナのボンゴレリングまで粉々になってしまう。
炎真君はそれを見届けると力を解いて、私の体を抱き上げる。
力が入らない私は抵抗することもできずに、ただ、炎真君に「どうして、」と小さく問いかけることしかできない。
炎真君はちらりと私を見て、静かに悲しみの色を落とす。
その瞳には、信じたくても信じることができない悲しみと、…かすかな憎しみ、小さな温かさを感じた。
少しでもまだ温かさがあるなら、きっと炎真君とツナはやり直せるはず……
「帰りましょう。聖地へ」
アーデルハイトさんの声とともに私の意識もフェードアウトしていく。
…恭弥、…みんな……
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