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「おい、しっかりしろ!」
あぁ、周りが騒がしい。うるさいよ、少しは静かにしてくれないかい。
痛む頭でぼんやりとどうしてこうなったのかを思い出し、ぎりっと奥歯を噛みしめる。
あの小動物……あんな牙を持っていたとはね……
僕が手も足も出なかったなんて……っ思い出すだけでも腹立たしい。
ぐっと力を入れて体を起こすと一人で立ち上がろうとする。
「恭弥!大丈夫か!!」
「寄らないで」
跳ね馬が僕を支えようとしてきたから一言で制する。
手も足も出なかった上にこの人の手を借りて立ち上がるなんて…御免だ。
「平気だよ。…プライド以外はね」
ズタボロになった僕のプライド。負けるはずがないと思っていたのに、
思い出すだけでむかついて、今すぐにでも暴れたくなる。
そんなむかつきの中でふと、いつも一緒にいる存在がいないことに気付く。
「…美瑠はどこなの」
「…っそれが…」
シモンに連れていかれたんだ。
「…どういうこと」
ビリビリとした殺気に周りが「ひっ」と声をあげて腰を抜かし始める。
それでも目の前の跳ね馬は冷や汗をかきながらも僕をまっすぐ見つめている。
「なっどういうことっすか十代目!」と隣にいた獄寺隼人たちも騒ぎ始める。
跳ね馬たちの話ではどうやら美瑠の力が目的で連れて行ったということだった。
…僕が意識を失っている間に美瑠が浚われてしまうなんて…っ僕は一体何をしていたんだ…!!
「落ち着くんじゃ!今シモンファミリーをわしの守護者が尾行している。君たちは治療に専念しなさい」
「9代目!大変です!!」
「なんじゃ…」
「尾行していたコヨーテ・ヌガーがシモンに感づかれ…返り討ちに遭いました!!」
「なに…!!」
これで、手がかりがなくなったってわけか……
美瑠…っ無事でいてよ…!!
「う゛お゛ぉい!!シモンファミリー討伐の任は我らヴァリアーが引き継ぐ。許可していただきたい、9代目」
「ならん」
「んだとぉジジィ!!美瑠が連れて行かれてんだぞ!!」
「わかってくれ、スクアーロくん。これ以上無駄な犠牲者は出せない」
「犠牲者だぁ?」
銀髪は「てめーの守護者とはデキが違うんだぁ!!」と怒っていたが、9代目は冷静だった。
シモンの脅威は体技を超えた得体のしれぬリングの能力にある。
強力なリングも匣も持たない今の君たちには勝てない、と。
さらに、僕たちが持っていたボンゴレリングが壊されてしまった。
シモンに対抗できていたのは未来でリングの戦い方を知っていた僕たちだけだったはずだ。
それなのに、リングまで壊されるなんて……思い出すだけでもむかつく…!
すべてはわしの責任だ、と9代目は自分を責め続ける。
そんな時、
「まだ光は消えとりゃせんぞ」
一つの声が、静かに響き渡った。
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