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「ん…」



誰かの話し声が聞こえてきて、私の意識が急に浮上する。

私、どうして意識を…ボンゴレ継承式に出ていて、そして、炎真君たちが、

思い出した瞬間、私はすぐに目をあけて、体を勢いよく起き上がらせる。

そうだ、炎真君たちが私たちに攻撃して、それで私の力が必要だからと連れて行かれて…!!

一体ここは、と周りを見渡すと広い部屋のベッドに寝かせられていたようだった。
アーデルハイトさんは「聖地」と呼んでいた。まさか、その聖地…?

なら、ここは一体誰の、



「気が付いた?」

「…!炎真君!」

「炎真でいいよ、美瑠ちゃん」



シモンの制服を着た炎真君…ううん、炎真は部屋に入ってくる。
この部屋はもしかして、炎真の…?

炎真は、私が寝ていたベッドに近づくと、そのベッドの端に座り込む。
炎真の表情はやっぱりどこか冷たくて、怖い。何か大きな力に囚われつつあるような……



「炎真。どうして私を…」

「アーデルハイトが言ってた。力を完全に覚醒させるには、月の波動が必要だって」

「…私が協力すると思っているの?」

「協力するよ。美瑠ちゃんならね」

「どうして、言い切れるの…!」

「協力しなかったらボンゴレみんな殺す」

「…!」

「って、言ったら?」

「炎真…っ」



冷酷な色を灯した炎真の瞳が私を無機質に見つめる。
ボンゴレのみんなを殺す、という言葉は私にとって効果は絶大だった。

そんなこと、絶対にさせない。
私の命に代えても、みんなを守ってみせる…!



「あなたたちのためにこの力を使うくらいだったら…私は死ぬわ…!」

「美瑠ちゃんは、弱点が多すぎるよ」

「どういう意味っ…」

「美瑠ちゃんが死んでも、ボンゴレは壊滅するよ。月が隠れれば、太陽は存在できない」

「…!どうして、それを…!」

「美瑠ちゃんが死ねないのは知ってるんだ。力を使わなくても、ボンゴレを殺す。
力を使っても、ボンゴレを殺す。どちらにしたって、ボンゴレは滅びる運命なんだよ」

「そんな運命、私が断ち切る!それに、ツナたちは簡単に負けない…!」

「…どうして、」

「え?」

「どうして、ツナ君たちをそんなに信じられるの…?」



炎真の瞳が初めて、動揺で揺れる。
…私は知りたい。炎真がどうしてこんなにもツナを憎んでいるのか。

ボンゴレを憎んでいる理由はわかる。信じていた人が裏切り、そして迫害を受けたというのだから……
でも、炎真はボンゴレとツナを憎んでいるように感じた。

私が見る限り、あのツナが炎真を傷つけるようなことをするはずがない。



「ツナは、誰よりも仲間を大切にする人だから。
今までどんな苦難に遭っても、ツナは仲間を信じて立ち向かっていった。
きっと、炎真のことだってツナは友達だと、」

「嘘だ!!ツナ君だってボンゴレという裏切りの血が流れているのだから…っ」



炎真はぎゅっと拳を握って、私にくるりと背を向ける。
炎真、とその背に声をかけたが、炎真は振り返ることはない。

炎真…いったい、あなたは何を背負っているの…?何に、囚われているの…!



「この島にツナ君たちが来てる。僕らは戦うよ。…そして、誇りを取り戻す」

「炎真!!…っ戦うことで取り戻せるものなんて何もないんだよ!…炎真っ!」



バタン、とドアが無情にもしまってしまう。
追いかけたかったけれど、私の足と手には手錠があって、追いかけることはできなかった。

―――どうか、…どうか、ツナと炎真が傷つくことがないように…!


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