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元気のないツナに小さくため息をついて、為す術のない自分に悔しさが心を占める。
こんなときに美瑠がいれば、ダメージを負ったツナに何か言ってやれるのにな……
そんな時にアーデルハイトが現れて、誰も戦えないと焦ったとき、現れたのは雲雀だった。
まさか自分のヘリを使って現れるとは思っていなかったが。
「やぁ、小動物。どこだい?継承式で暴れたもう一匹の小動物は」
「エンマのことだな」
「言っておくがボンゴレの卑劣なボスと我らシモンのボス、炎真は似ても似つかん!一緒にしてくれるな!」
「…何か違うの?生態的に」
生態的、という言葉に小さく笑いそうになる。雲雀らしい言葉だ、と。
アーデルハイトが雲雀に勝負を挑むが雲雀は「君じゃ僕を咬み殺せない」と一蹴する。
そんな歯牙にもかけない態度にアーデルハイトのプライドが傷つかないはず、何!と雲雀をにらんだ。
「…まぁ、だけど。僕の欲求不満のはけ口にはちょうどいい肉の塊だ」
「貴様…!!未だシモンの恐ろしさをわかっていないようだな」
「勝てば美瑠の居場所も吐いてもらうよ」
「いいだろう。勝負だ」
アーデルハイトが提示した誇りは『炎真率いるシモンファミリーと粛清の志』
アーデルハイトの言葉に雲雀は「誇りなんて考えたことないけど、答えるのは難しくない」と笑う。
「並盛中学の風紀とそれを乱す者への鉄槌」
あぁ、雲雀らしい。今の雲雀はいつになくキラキラしている。
本当大好きだよな、並盛。もし美瑠がいたら雲雀らしいと笑っていたことだろう。
二人の誇りからしてルールは“腕章没収戦”になった。
ステージは滝のようで、アーデルハイトは滝へと入っていく。
身のこなし方は雲雀と張り合えるほどのもので、面白い戦いが見れる予感がした。
「小動物。今の君の顔、つまらないな」
「!」
「見てて、僕の戦い」
それって、とツナが戸惑うのをしり目に雲雀は崖から飛び降りる。
ロールを使って着地すると、ボンゴレギアを装着する。
雲雀のボンゴレギアは、改造長ラン。それもまた奴らしい。
戦いが始まる、となったとき、ツナは突然下に降りようと動き始める。
「ヒバリさんが戦いを見ろって言ったんだ。もっと近くに行かなくちゃ」
そういったツナの目に、少しだけ光が灯っているような気がした。
…もしかしたら、雲雀の戦いに何かを見出すかもしれねぇな。
獄寺にアホ牛を連れてくるように伝えるとツナを追いかける。
下では雲雀が先にトンファーでアーデルハイトを攻撃したが、アーデルハイトは自分から滝の中に入っていく。
「雲雀恭弥、見るがいい」
アーデルハイトの体中に炎が灯り、大きな氷の塊が彼女の回りに出来上がる。
完全なる氷の城…ダイヤモンドキャッスル。
たとえツナのXバーナーでも溶けないという無敵の防御壁。
雲雀は「へぇ、咬みごたえがありそうだね」と言ったが、さらに現れたのは氷の人形たち。
この氷の人形たちはアーデルハイトと同じ戦闘力でありながら500体もいるという。
さっそく攻撃してくる人形たち。…でも、雲雀の前では、ただの人形でしかない。
雲雀のトンファーから出てきたチェーンであっけなく7体が破壊されていた。
あれは新兵器だな。相当なポテンシャルを秘めていそうだ。
そうワクワクしていたが、残りは493体。まだまだたくさんいるのだ。
「私に辿り着くことなど絶対に不可能だ」
「不可能…?君は相手にしてしまったものの大きさにまだ気づいていないね。
僕の腕章を懸けてしまったことに、もっと覚悟をもった方がいい」
「何?」
「“風紀”の2文字は何があっても譲らないよ。でも、誇りだから譲らないんじゃない。
―――譲れないから、誇りなのさ」
「(譲れない、もの…)」
「待ってなよ。すぐに咬み殺してあげる」
雲雀の戦いが一気に始まる。
目に留まらぬ速さで氷の人形を壊していく。トンファーで、体技で、ロールで。
その戦い方はまさに鬼神。人間相手じゃない分、のびのびと戦っているようにも見える。
恐ろしいほど強ぇ男だ。…さすが、美瑠が才能を見抜いた男なだけある。
伸びしろが大きい雲雀にどこまで伸びるのかと面白くも感じた。
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