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黒い影が寝息しかないツナの部屋でゆらり、と動く。

その黒い影はツナを見下ろして、そして……




9 殺しの才能開花!?




穏やかで爽やかな朝。
空気は湿気を含んでいてどこか清々しく、鳥の囀りも聞こえてきて本当に平和。

私は久しぶりに私服を着てツナの家の前に立った。

さっきリボーンから来るように言われたんだけど……どうしたんだろう?
何かあったとは……―――ズガンッ!…今あったみたいだね。

音の発信源はたぶんツナの部屋。
銃声にびっくりしてさっきまで綺麗な歌声を披露していた鳥はどこかへ飛んでいってしまった。
リボーンが来ると平和って言葉は存在しなくなるよね、と苦笑してインターフォンを鳴らす。

すると奈々さんが出てきて「おはよう、美瑠ちゃん」といつものような笑顔を浮かべてくれた。

あ、あれ…?奈々さんには聞こえてなかったのかな。
でも気づいてないに越したことはないよね。




「おはようございます、奈々さん!ツナ、いますか?」

「えぇ。まだ寝てるかもしれないけど…美瑠ちゃん起こしてきてくれるかしら?」

「はい。じゃ、お邪魔します」




よろしくね、と苦笑する奈々さんにはい、と笑って頷く。

きっとあの銃声で起きてると思うんだけどな。
もし起きてなかったらよほどの強者だよね?

トントントン、と一定のリズムを刻んで二階に上がるとツナの大きな叫びが聞こえてきた。

「オレー!?」…ん?何がオレ、なんだろう?
なんだかよくわからないことになってる。

あの銃声はリボーンがツナに死ぬ気弾を撃った音じゃなかったの?




「うそ――――!」

「何が?」




ドアが丁度開いていたからひょこっと頭を出してお邪魔する。

中はなんだか荒らされたみたいに散らかっていた。ランボが散らかしたのかな?
状況把握するために一通り部屋の中を見渡してみる。

最初はツナ。…しかも銃も握ってる。さらにその銃はリボーンのという珍しい光景。

ツナがついにリボーンに反抗して銃を撃ったのかな?
そう思ってリボーンに視線を向けたけど……全然違うみたい。

だってリボーンがすごく楽しそうに笑っているから。ツナはその反対で泣いているし。




「美瑠ちゃん!?」

「おはよう!」




ニコリ、と笑うとツナの顔が一瞬だけ安心したような表情になる。
でもすぐに真っ青になってあわあわと慌てだした。

どうしてそんなに慌てるのかな?部屋が散らかってるのは全然気にしないのに。




「(やばいよ美瑠ちゃんに死体のことバレちゃった!ど、どうしよう!)」

「美瑠はヒットマンだから見てもいいだろ」

「あ、そっか。…じゃなくてー!ていうか心読むな!」

「朝から元気だね」




クスクス笑いながら部屋に入ってみる。

硝煙の匂いと……血のにおいが少しだけする。
ということは誰かが怪我してるはず…あ、いた。

…怪我、っていうよりこの人死んでるかな。

でも確かあの人は…、そう頭の中で該当する彼を思い出す。

まじまじと見つめればやっぱりそうだ!似てる、じゃなくて本人なんだね。

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