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「ツナ…!」

「うおおお!」



ツナは一気に炎真に詰め寄り、炎真の胸倉を掴む。
それでも炎真は「ツナヨシ…コロス…」という言葉を繰り返すばかり。

正気に戻らない炎真にツナは目を覚ませ!と一発拳を炎真の頬に入れたが、炎真の様子は変わらない。

炎真、と彼の名前を呼んだ瞬間、ツナの上にのしかかる大きな重力。
避けようと思えば避けられた重力。それなのに、ツナは避けなかった。

だって、ツナは炎真の目を覚まさせたいから。…今炎真から離れてしまったら、もう、戻れない気がする。

その間もずっと聞こえてくる炎真の声に胸が痛んで、自然と涙がこぼれる。



「聞こえるか、炎真!!オレがいる!!ここにいるぞ!!」

「炎真、目を覚ましてっ!!!」

「…−!!ツナ君!美瑠ちゃん!…っ痛っ…、…ツナ君…僕は…」

「炎真!!正気に戻ったんだな!」



よかった…!炎真の意識が戻って、本当によかった……

この様子だと流れた映像も炎真の頭の中に流れたはず。
ボンゴレが裏切っていなかったこと、…きっと、誤解はとけているはず。

これで、大丈夫だよね。もう、戦いは終わるんだよね……



「助けに来た」

「…!ツナ君も、ボンゴレT世のように裏切らなかったんだね」



炎真の言葉に私たちの心に安堵が広がる。

――でも、



「ダメなんだ」

「!?」

「もう僕は自分の力を制御できない」



めきめきと音を立てて炎真の中心にあった黒い穴が大きく広がっていく。
それは先ほどまでツナの回りにあったもの。ブラックホール。
逃げて!と炎真は叫ぶが、ツナの体がどんどん炎真に吸い込まれていくように近づいていく。



「いいや、助ける!必ず!」



ツナは助けると言っているけど、一体どうやってと考える。

ブラックホールほどの強力な力をかき消すにはXバーナー以上の力が必要になる。
するとツナは両手を前に突き出し、Xバーナーのようなポーズをとった。

まさか、Xバーナーの両手撃ち…!!

固唾をのんで見つめているとXX BURNERが炎真に向かって撃たれる。

その炎圧の凄まじいこと。こんなにも強力な力、炎真が耐えられるの…!?



「炎真は耐えられるのか!?」

「わからねーな…」

「絶対に助ける!!誇りに懸けて!!」



ツナの力強い言葉。それが私たちに染みわたっていく。

ツナの誇り……それが今は何かわからないけど、これだけは言える。


ツナの凄まじい炎は炎真を傷つけるための炎ではない。
とても優しくて…まるで包み込んでくれるような、炎だということ。

しばらくすると炎は小さくなり、私たちの回りには白い煙がまく。

ツナと炎真は、と慌ててあたりを見回すと、無傷のツナとナッツ。…そして、炎真。



「ガハハハ!エンマ、寝癖だもんね!」

「たしかに見事だな!」



ランボに笑われて慌てて炎真は髪形を直すとナッツが炎真に向かって一直線に走っていく。
グルグルと喉を鳴らしながら炎真にじゃれつくナッツ。

私たちもナッツの後に続いて炎真に駆け寄っていく。



「ツナ君、美瑠ちゃん…、ごめん。僕たちの勘違いでこんなことに…」

「…。いいんだ。炎真たちのせいじゃないよ」

「あぁ、わりぃのはD・スペードだ」

「……、一つ聞いていいかな、ツナ君」

「…?」

「誇りに懸けてって言ってたけど、ツナ君の誇りって何なの?」

「ん?あぁ、なんだ、そのことか」



優しい、笑顔だと思った。

とても自信に満ち溢れていて、見ているこちらまで何だか誇らしくなるような、そんな笑顔だった。



「君だよ」

「…!」

「本当のこと言うとここに来てからもずっとわからなかったんだ…
誇りなんて今まで考えたことなかったし、そんな立派なものを持ってる自信がなかったよ。
でも、雲雀さんが譲れないものが誇りだって教えてくれて…」

「(恭弥がそんなことを…)」

「それだったら迷うことなく答えられるよ。オレの誇りは、仲間だし、友達だって!」



―――あぁ、そうだよね。ツナは、そういう人。

誇り、なんて難しい言葉はいらない。とても大切だと思うものをちゃんともっていて、どこまでもまっすぐで……

だからこそ、私も…みんなも、ついていきたくなる。そして、力になりたくなるんだ。


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