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今までの仕業がDの仕業だったことを意識を失っていた炎真にも伝える。
Dが大切な仲間であるジュリーさんに乗り移っていたことには、炎真も気付かなかったようで、驚いていた。
これから私たちはDに捕まっている髑髏を助けるために動き始めることになった。
炎真も「力になりたい」と言ってくれて、みんなで行くことになった。
ダメダメコンビ、なんてリボーンにあだ名をつけられてしまったけど、それでもいいと思う。
ダメダメだけど、いざという時に頼りになるボスなのだから。能ある鷹は爪隠すっていうしね。
笑いあうみんなに突然現れたのは、復讐者。
しかも、もう和解したのに試合続行とされており、敗者は炎真だと宣言される。
いくらツナがもう憎しみ合っていないと説得しても、復讐者は「掟だ」と言い張って聞いてくれない。
「6つ目の「鍵」を授ける。これだ…」
「…!?透明なおしゃぶり!?」
「ボンゴレとシモンの過去へ誘え」
――――……
――…
「ありがとう、助かったよ。ジョット」
ある森の中、プリーモ様とコザァート様、それにG様と初代月様がいらっしゃった。
どうやらあれからシモンファミリーのみんなを助け出して、森まで避難してきたようだった。
再会を懐かしむ、プリーモ様とコザァート様。
でも、すぐに今回の裏切りの件についての話になる。
Dにどうけじめをつけさせるのか、と尋ねるG様に、嵌められたはずのコザァート様が「今回の件はなかったことに」と言い出したのだ。
炎真たちが話していたようにこの戦いでコザァート様たちは戦死したことにすればいい、と。
それを許すはずがないプリーモ様は「何を言い出すんだ!」と怒ったが、コザァート様は「弱点になりたくない」と表舞台から姿を消す意思を見せる。
「…っそれがどういうことなのかわかっているのか、コザァート!
表舞台から姿を消し、日陰の道を歩むということがどれだけ壮絶かを!」
「心配いらない。どうせオレたちは元々世捨て人さ」
「子供たちはどうする!?オレ達の業を子孫にまで背負わせる気か!」
「そうだ」
先ほどまで笑顔で話していたコザァート様が真剣な顔で肯定する。
その瞳はまっすぐで、いくら説得してもコザァート様の意思が固いのは明白だった。
しかしそれは、ボンゴレの業をコザァート様たちシモンファミリーに被せることになってしまう。
プリーモ様がこの決断を下すことにどれほどの苦痛を感じているか……考えるだけでも、胸が痛んだ。
その痛みを初代月さまも同様に感じているのだろう。苦しげに俯いている。
しばらく沈黙が続いたが、プリーモ様はぎゅっと拳を握りしめ、苦々しく「わかった…」と声を絞り出した。
「ただし、誓いを立てさせてもらうぞ。
ボンゴレが存在する限り、永遠にシモンを陰から支えていく」
「!…、…なら、オレも誓おう。
この件でシモンファミリーはボンゴレファミリーを恨んだりはしない。
ましてや両ファミリーが争うことは未来永劫、ない」
「あぁ。…ミチル、お前が証人だ。月の守護者は、この誓いが守られるよう見守ってくれ」
「はい、ジョット。この月の守護者がある限り…その使命を全ういたします」
「言ってしまったね」
ぶわり、と不穏な黒い炎が突然その場に現れる。
それは、現代と同じ色であり…同じ気配を感じる。
まさか…こんなにも前から復讐者が存在していたなんて……
「マフィアの掟は仕切らせてもらおう。ジョット君にコザァート君」
「復讐者!!…っそれとも…バミューダ・フォン・ヴェッケンシュタインと呼ぶべきか?」
「――え…?」
小さな声を発した瞬間に、ふわり、とここで記憶が途切れてしまう。
確かに私たちは見たんだ。…復讐者の肩に乗る、小さなしゃべる赤ん坊を。
透明のおしゃぶりに、小さな体。あれは、間違いなくアルコバレーノ…!!
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