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「おかしい…困りました」
「骸様!」
「骸…一体どうしたんだ?」
「トラブルが起きました。復讐者の牢獄にいる自分の肉体に精神が戻れない…」
「え?」
「肉体に戻るあと少しのところでブロックされるのです」
どういうことだろう。自分の体に戻れないなんて。
それじゃあまるで、骸の中に他の誰かがいるから器に戻れないみたい、に…っ…まさか、そんなはずは、
浮かび上がってきた可能性に私の血の気が引いていくのがわかる。
その隣で加藤ジュリーが意識を取り戻したけど、ジュリーの中にD・スペードはいない。
それに骸が勝ったのだから、今までの流れで言うと勝敗を宣言しに復讐者が現れるはずなのに見る影もない。
まだ勝負がついていないと判断されているということ?
それとも、現れることのできないくらい大変なことが起こっている…?
…っ、骸が体に戻れない、そして異常事態が起こっている可能性がある、…これは…っ!
「美瑠、君のその様子だと僕と同じ考えですね」
「骸、まさか…っ!?」
「えぇ、未だかつてこのようなことは一度もありませんし、考えも及びませんでしたが、考えられる可能性が一つだけある。
僕の精神がクロームに憑依している間に空の器となった僕の肉体があの男に乗っ取られた!!」
「D・スペードに…っ!!」
D・スペードはこれが目的だったんだ…!!
術者として優れた骸の肉体を手に入れることが…っ
だから、わざと負けて骸より先に精神を離れ、骸の肉体に入ることができた。
そう考えれば今の状況をぴったり説明することができる。
…でも、そんなことが可能なのだろうか…術者が憑依している間に体を盗むなんて……
その疑問はすぐに解決されることになる。シモンリングの覚醒という可能性によって。
浮上した可能性に動揺しているとブワリと寒気が走り、黒い炎が立ち込める。
「復讐者!!」
「やっぱり戦いに敗れたジュリーを連れて行くんだ」
「否。一刻を争う非常事態が起きた。
憑依された六道骸の肉体が暴走し、我々の牢獄を破壊している」
「それって…D・スペード!」
「左様。D・スペードは六道骸の肉体を手に入れ、人の領域を超えた。脱獄するのは時間の問題だ」
「だっ脱獄!?」
「D・スペードはまずここへ来るだろう。次世代ボンゴレであるお前たちを始末しに」
「…っ」
「我々の力で対処することもできるが、今はそれを避けたい。D・スペードはお前たちが処理せよ」
後始末をしろということか……
復讐者の言い分としてはD・スペードはボンゴレに所属する者だから、身内の始末は身内でつけろ、というものだった。
理屈はわかるが、復讐者は何者にも属さない法の番人。
脱獄囚のことを他の人に委ねるなんて珍しい、というからしくない行動だった。
怪訝に思っていると、ツナは「そのつもりだったからいい」と言う。ただし、条件がある。
「ボンゴレとシモンの戦いはなくなったんだ!お兄さんやシモンのみんなを牢獄から出してくれ!」
「…。古里炎真、お前の意見は」
「僕も同じだ!!」
まっすぐと復讐者を見つめる二人。
その瞳はプリーモ様とコザァート様と同じ目の輝きを放っていた。
…あぁ、やっぱり二人はプリーモ様とコザァート様の子孫なんだね。
復讐者も同じことを思ったようで「10代の時を経てようやく2人の誓いが果たされたということか…」と呟いた。
「いいだろう。Dを倒せば牢獄にいるファミリーを解放する」
「ですが十代目、こいつら信用できません!」
「約束は守る」
包帯が少しだけ解れ、黒く長い髪が男から現れる。
その風貌は…間違いなく記憶の中でプリーモ様とコザァート様の誓いに立ち会っていた男だった。
そんなこと、ありえない…!何百年も前から同じ人が復讐者として生きているなんて…!
一体何者なの!?と驚くツナの言葉に復讐者は意味ありげにリボーンに視線を向ける。
「バミューダの輝きとともに復讐する者」
「バミューダ…」
「…。来たな」
復讐者の言葉が響いた瞬間、ドン!!と大きな衝撃とともに巨大な炎が私たちを襲う。
防御のための炎を私と隼人、武が張ったけど、すごく重たい一撃で、防ぐので精一杯だった。
今まで感じたこともない、とてつもなく大きな炎圧……!
しかも、あの炎は、復讐者と同じ色…!!
「ヌ フ フ」
「この声…っ」
「ごきげんよう」
ゆっくりとした動き、…それはある意味余裕ともとれる、動きだった。
確かな強い炎の揺らめきの中から現れたのは、骸よりも長い髪をした、男。
―――この人、怖い。
計り知れないほどの大きな力を秘めていて、…冷酷さがにじみ出ていた。
ツナも炎真もDの雰囲気の怖さを直感的に感じているのか、顔色が悪い。
「さあ、終えましょう。君たちの世代を」
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