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大きな爆発によってあたり一面が土埃で覆われる。

ツナの炎によってDは木っ端みじん。跡形もなく消し去られてしまったようだ。
…それだけの炎だった。私たちの力を合わせて生き残れたのは奇跡に近い。

それとも…ツナは、無意識に私たちを守るための炎も混じらせていたのかもしれない。



「美瑠ちゃん!クローム!炎真は!?」

「…ボス、私は大丈夫」

「クローム!!」

「私も、大丈夫だよ」



体を起こしてツナに視線を向ければリボーンもツナもクロームも安心したように息をつく。
炎真は、と視線を巡らせているとせき込みながらも走って私たちに駆け寄る炎真の姿があった。

よかった、炎真も無事だったんだと肩の力を抜いた途端、嫌な予感が一気に駆け抜ける。

ハッとしてツナの方へ視線を向けると炎真とは違う気配を感じて「ツナっ!!」と慌てて大声をあげていた。



「美瑠、」

「ツナ君、そいつは僕じゃない!!」



ドスリッ!という鈍い音を立ててツナの鳩尾に強い蹴りが一発いれられる。
あまりの痛さにツナはうめき声をあげていると、炎真の回りに霧の炎が纏わりつく。

――そして現れる、ボロボロの姿のD・スペード。

あの炎で生きているなんて…、…いや、炎でガードしていたとはいえ私たちが生きているのであればDだって生きている可能性はあったはずだ。



「私をここまで疲弊させ追い詰めるとは。たかがボンゴレの異端の分際でよくも…許しませんよ、沢田綱吉」

「…っ、ツナ、逃げて!!」



力尽きているツナは逃げることもできずに、Dの髪の毛がツナの首に巻きつき、釣り上げられる。

宙に浮いたツナの体にDが何度も何度も拳を打ち付ける。
バキバキとツナの骨が粉々になっていく鈍い音が響き渡り、何もできない無力な自分に腹が立つ。

私に力が残っていれば、ツナを助けることができるのに…っ!!

ぎりっと拳を握りしめていると、なぜか不吉な気配をもって現れる復讐者。
しかも手出しをするな、と私とリボーンに釘を刺してくる。
Dとグルなのか、とリボーンが尋ねるが復讐者は「別の理由だ」と言う。しかも今は言えないとも。

…復讐者にはわからないことが多すぎる。
私たちの味方をしたり、敵の味方をしたり…彼らの言う「掟の番人」とは一体どういうことなんだろう。

彼らの行動理由はいつだってあいまいで、理解しがたい。

拳を握りしめているとDは愉快そうに笑い、ツナの首筋に刃物を当てた。



「…っD、あなたの目的は強いボンゴレでしょう!?ツナを殺さなくてもっ」

「いいとでも?甘いですね。この十代目候補を殺してこそ、ボンゴレはさらに理想に近づく」

「や、めろっ…D…」

「私のボンゴレは以後シモンなどという五流ファミリーと関わるつもりはない。触れるな!」



止める炎真を蹴り捨ててDはツナへと剣を振り上げていた。

誰も、動けなかった。そして、みんな思っていた。――ツナを助けたい、と。


――かけがえのない友達だから…!

その気持ちが強まった瞬間、炎真が持っていた大地のリングが外れて、ツナへと向かっていく。
温かな炎が一気に広がり、大空のリングと大地のリングが一つになる。



「時を経てボンゴレとシモンの意思が一つになったか」

「お前、何か知ってんな」

「あれもまたジョットとコザァートの遺した「鍵」だ」


――これが、第7の「鍵」!!


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